PMスタイル考 Feed

2018年3月13日 (火)

【PMスタイル考】第132話:生産性と効率性

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Productivity

◆生産性と効率性

プロジェクトにおいても生産性向上を課題にするような話をよく耳にするようになった。ところが、プロジェクトマネジャーと話をしていると、意外と生産性とは何かということが理解されていないと感じることが多い。

特に多いのが、生産性と効率性の区別のついていないケースだ。実はこの違いは、プロジェクトマネジメントにとっては本質的なものである。そこで、まず、効率性と生産性の違いについて明確にしておこう。

効率性はある作業の労力や時間、資源をどれだけ小さくすることができるかを示す指標だ。例えば、1日に何個の商品を作れるか、プロジェクトで1日にどれだけの(作業)成果物を作れるかは効率性である。

これに対して、生産性は、使える資源をすべて総合的に使って、どれだけ新しい価値を生み出せるかを表わす指標である。ここで価値というのは、プロジェクトの成果物とは限らないことに注意してほしい。プロジェクトにおいて作られた成果物がどれだけプロジェクトの目的に役立つかが価値である。プロジェクトの最終的な成果だといってもよい。

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2018年2月 1日 (木)

【PMスタイル考】第131話 コンセプチュアルスキルでダイバーシティーを高める

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Divaersity◆抽象は嫌われる

著者はこの5年間くらい、コンセプチュアルスキルへの取り組みを行っている。その中で、抽象的であることはよくない。ゆえに、抽象を扱うコンセプチュアルスキルは好ましいものではないと考えている人が意外と多いことに気が付いた。

経営活動に関わる人は人に依るが、現場の人は少なくとも数年前まではそうだった。最近、現状ではまずいと考え、イノベーションを目指す組織においては少しずつ変わってきているように感じるが、大勢はあまり変わらない。

ついでに述べておくと、特に顕著に感じるのは、本来ソフトウエアというコンセプチュアルな商品や製品を手掛けているIT系の企業にその傾向が強いことだ。外資系と国内系のIT企業の端的な違いはこの点だと思う。

この点については今回の議論からは外れるので、また、別の機会にしたいと思っているが、コンセプチュアルスキルがあまり好ましくないと思っていない人には特にこの記事を読んでいただければと思う。

コンセプチュアルスキルがなぜ必要なのかはこれまで何度も述べてきたが、今回は「抽象的な思考が嫌い」な人を念頭において、なぜ重要なのか、著者が何を実現したいと思っているかと併せて説明してみたい。

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2018年1月11日 (木)

【PMスタイル考】第130話:イノベーションにおけるコンセプチュアルスキルの役割

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Innovation◆イノベーションとは

コンセプチュアルスキルの必要性への認識が高まってきている。イノベーションの創出、生産性の向上をはじめとする、直面する多くの課題取り組みの行き詰まりの一因が「コンセプチュアルスキルの低さ」だと考えられるからだ。

生産性とコンセプチュアルスキルの関係についてはこれまでに何度か書いてきたので、今回はイノベーションにおけるコンセプチュアルスキルの役割について考えてみたい。

まず最初に、さまざまな場面で使われるにも関わらず定義の不明確なイノベーションという言葉の定義を明確にしておこう。

イノベーションはオーストリアの経済学者だったヨーゼフ・シュンペーターが20世紀初頭に名付けた概念だが、彼は経済活動において旧方式から飛躍して新方式を導入することをイノベーションと呼んだ。

すなわち、イノベーションを「生産手段の新結合」とし、市場における価値を、社会や市場の中から発見することによって実現されると考えた。何もないところからいきなり生み出すのではなく、「結合」、つまりすでにあるものの組み合わせから、これまでなかった価値を作り出すものだというのがシュンペーターの考えるイノベーションである。

この記事ではイノベーションという言葉を、シュンペーターのいうイノベーションの意味で使うことにする。

シュンペーターの考えは、100年経った今でも変わっていない。むしろ、最近は、結合の範囲が拡大し、組み合わせの重要性が高まってきている。

例えば、21世紀の最大のイノベーションの一つだと考えられているiPhoneにしても、もともとさまざまな技術の組み合わせで生まれてきたが、それだけでは成功していない。そこにコンテンツの流通や制作などのやり方を組み合わせることによって全く新しい価値が生まれ、成功がもたらされたといえる。

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2017年10月18日 (水)

【PMスタイル考】第129話:まねるとは本質を理解し、実現することである

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◆まねる

イノベーションが注目されるようになって、まねることが再び、注目されるようになっている。イノベーションは既存のアイデアの組み合わせであると言われており、まねることと非常に強い関連性があるからだ。

いい意味でも悪い意味でも、日本人はまねることが得意だといわれてきた。良い悪いは別にして、実際にまねから始めて、発展させ、新しいものを生み出してきたのは確かだろう。高度成長期はまさにそのような時期だったといえる。このあたりの話は、井上達彦先生の

模倣の経営学 実践プログラム版 NEW COMBINATIONS 模倣を創造に変えるイノベーションの王道」、日経BP社(2017)

を読んでみるとよい。トヨタやセブン-イレブンが採った、手本とする他社の本質を見抜き、自社で生かせる儲かる仕組みを抽出する創造的な摸倣の方法を体系的にまとめた一冊だ。また、井上先生が翻訳された

オーデッド・シェンカー(井上達彦、遠藤真美訳)「コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす」、東洋経済新報社(2013)

もお勧めである。

しかし、一方で、まねはしてもイノベーションが生まれなくなっているという現実もある。どうしてなのだろうか。

そこにはまねるとはどういう行為なのかという問題があるように思える。今回のPMルスタイル考は、この問題について取り上げてみたい。

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2017年9月12日 (火)

【PMスタイル考】第128話:なぜ、コンセプトは重要か

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◆まず、モノありき

日本ではモノを重視する。決めごとをするのに、まず、モノの存在がある。

ここから始まっているので、製品コンセプトやプロジェクトのコンセプト(目的)を考える場合、「後づけ」になる。つまり、固定的なモノのイメージがあってそこからコンセプトや目的を考え、そこで終わるので、非常に限定的なイメージになる。

ここでモノといっているのはハードだけではない。ソフトウエアも含めて、「作る」モノすべてだ。今、生産性が問題になっているサービスもモノとして扱っている場合が少なくない。

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2017年8月29日 (火)

【PMスタイル考】第127話:コンセプチュアルスキルで業務の質を向上させる

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Kw◆コンセプチュアルスキルの起源

最近、よく聞かれるのが「コンセプチュアルスキルがなぜ必要か」ということだ。関心を持つ人が増えてきたということなのだろう。ありがたいことだ。そこで、今回のPMスタイル考は、この問いに答える形で書いて見る。

ちょっと大きな話になるが、コンセプチュアルスキルはロバート・カッツというハーバード大学の先生がマネジャー、特に経営にタッチする上級マネジャーの特有のスキルとして提唱したものだ。

彼は、工場において、最初の管理職位である作業長になる人の中で、上にあがっていける人といけない人にどういう違いがあるかを観察し、コンセプチュアルスキルの高さによるという発見をした。つまり、業務スキルやヒューマンスキルに加えてコンセプチュアルスキルが高い人は工場長まで上がれるが、あまり高くないとあるところから上の職位にはつけないことに気付いた。

この着眼は日本企業に適合しており、コンセプチュアルスキル(概念化スキル)の向上が日本企業では重要な人事課題になっている。

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2017年8月18日 (金)

【PMスタイル考】第126話:プロジェクトチームがコンセプチュアルであるとはどういうことか

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Comm◆プロジェクトは具体化してできる

プロジェクトマネジメントでは、やらなくてはならない作業の大枠をプロジェクトとして決め、実際の作業をどのように行うかは担当のチームや担当者が決めて行うという方法で計画をつくり、作業を進めていく。

さらに遡れば、プロジェクトの目標となる予算やスケジュール、あるいは品質基準はチームで共有され、ここからプロジェクトの計画に展開して行く。

そして目標は目的を具体化する形で決められ、目的は戦略から決まってくる。

つまり、戦略、目的、目標、プロジェクト計画、作業計画の間には

戦略
 → (具体化) →目的 
  → (具体化) → 目標
   → (具体化) → プロジェクト(マネジメント)計画
    → (具体化) → 作業計画


という関係があり、最終的にはプロジェクトで行っている作業は何らかの意味で戦略実行のための作業になっている。これがプロジェクトマネジメントの原理だ。

これから分かるように、プロジェクトは戦略を具体化してできているわけだ。

この記事では、上位にあるものを上位概念と呼ぶことにする。目的の上位概念は戦略、目標の上位概念は目的、計画の上位概念は目標ということになる。

さて、以上を前提にしてコンセプチュアルなチームの話を進めていきたい。

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2017年7月26日 (水)

【PMスタイル考】第125話:地図よりコンパス

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Compass◆計画が難しいプロジェクト

プロジェクトを進めていくときに、目的に応じて計画を作り、計画を頼りに進めていくが、計画通りにはいかないケースが少なくない。

そのような場合には計画を変更して、新しい計画で進めていくのが一般的な流儀だが、イノベーションのように全く新しいことを行うプロジェクトでは、新しい計画が作れないことも珍しくない。

このような場合に、無理やり計画を作って進めていっても、計画を頼りにすることはできないし、計画があることが混乱を引き起こすこともある。どうすればよいのだろうか?

 

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2017年7月 5日 (水)

【PMスタイル考】第124話:「アウフヘーベン」(統合思考)

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Yuri

◆「アウフヘーベン」とは

今回のPMサプリは「統合思考」の話をしたい。

統合思考自体はコンセプチュアル思考の5軸の統合として、「コンセプチュアルスタイル考」で議論している。

【コンセプチュアルスタイル考】第21話:多様な意見を統合した新しいアイデアを生み出す

【コンセプチュアルスタイル考】第26話:5軸を統合した問題解決を行う

ここでは、もう少し一般的な議論をしてみたい。そう思ったのは、小池百合子東京都知事が、豊洲の市場問題で「アウフヘーベン」という概念を打ち出したことによる。「アウフヘーベン」とは

あるものを、そのものとしては否定しながら、更に高い段階で生かすこと。矛盾するものを更に高い段階で統一し解決すること。止揚。揚棄。

のことだ。つまり、豊洲か築地かの二者択一ではなく、両方の選択肢を踏まえ、昇華した案を出すという意味だ。小池知事は「アウフヘーベン」として、「築地は守る・豊洲を活かす」という戦略を打ち出した。その目的は

・豊洲移転後にかかる費用の赤字に対応するため
・「築地ブランド」を生かして土地を有効活用するため

だとしている。

具体的なプランはまだ出ていないので批判も多いが、その中で「いいとこどり」をしているだけなので、実現できないだろうという批判がある。この記事を書こうと思った直接の理由はこの点にある。

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2017年4月10日 (月)

【PMスタイル考】第123話:直観について考える

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Tyokkan◆人工知能vs直観

今回のPMスタイル考は直観について考えてみたい。

実は、連載「コンセプチュアルスキル考」の記事でも直観に関する記事があるので、こちらも併せて読んで戴ければと思う。

【コンセプチュアルスキル考】第11話:5つの軸について考える(2)~洞察は直観から生まれる
http://mat.lekumo.biz/pmstyle/2015/04/post-06fa.html

コンセプチュアルスキル考】第19話:直観を活かし、論理で検証する
http://mat.lekumo.biz/pmstyle/2016/02/post-0a89.html

まず、なぜコンセプチュアルスキルの話題をPMスタイル考で取り上げようと思ったかというと、一冊の本を読んだからだ。

奈良 潤「人工知能を超える人間の強みとは」、技術評論社(2017)

著者の奈良潤さんは

「エキスパートによる判断と意思決定の本質は”直観”にある」

という言葉で知られる米国の認知心理学者で、現場主義意思決定理論の創始者であるゲイリー・クライン博士に師事した唯一の日本人である。この本は、人工知能の分野におけるゲイリー・クライン博士の活動を紹介しながら、自身の見識を述べたものだ。



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