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2018年11月

2018年11月30日 (金)

【PMスタイル考】第140話:デザインとコンセプチュアル思考

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆デザイン思考の役割

Design

デザインを行うには「デザイン思考」という思考法がある。日本でも2010年にIDEOのティム・ブラウンの著書「デザイン思考が世界を変える」(ハヤカワ新書 juice)がベストセラーになり、注目されるようになってきた。

そして、今、デザイン思考は「イノベーション」のツールとして考えられて節がある。

この背景には、ヒューマン・センタード(人間中心)という考えがあるようだ。つまり、デザイン思考はどんな商品であれば買いたいかをさまざまな問いで顧客(消費者)に問いかけ、それに応えていくことによって売れる商品を創っていこうというビジネスモデルの根底にある思考法で、顧客のニーズには今までにない要求が含まれているという前提がある。そして、それを解決しなくてはニーズは実現できないというところからイノベーションの実現に結びついていくと考えられている。

だが、ちょっと考えてみればわかるように、このプロセスは改善プロセスである。顧客のニーズというのは現在、存在している商品がどうあってほしいかというものがほとんどで、顧客が自発的にまったく新しいものを想像し、欲しがるということはほぼあり得ないと思われる。

これは、アップルがiPhoneを開発したときに、スティーブ・ジョブズがフォーカスグループによるインタビューを行いながらも「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」と言ったとされるエピソードに代表されていると言えよう。

言い換えれば、デザイン思考は1を改善して10にする思考法であり、0→1、つまり、何もないところに新しいものを生み出す思考法ではない。

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【PMスタイル考】第139話:アートとテクノロジーの組み合わせとコンセプチュアル思考

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ 

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◆アート、クラフト、サイエンスの役割分担

Maneg

前回のPMスタイル考では、ヘンリー・ミンツバーグ教授の

経営とは、「直感(アート)」、「経験(クラフト)」、「分析(サイエンス)」を適度にブレンドしたものである

という指摘を取り上げ、バランスを取る方法として、コンセプチュアル思考が適していることを述べた。

【PMスタイル考】第138話:直感・経験・分析のバランスの取れた意思決定を行う
https://mat.lekumo.biz/pmstyle/2018/10/poste645.html

今回は、この議論をもう少し深めてみたい。

まず最初に、前回の記事に対していただいた質問、どういう風にアート、クラフト、サイエンスの3つの要素を使うのかという問題を整理しておきたい。

これがミンツバーグ教授のいうブレンドのポイントだと考えられるが、もっともオーソドックスなのは

(1)アートにより、ビジョンが生み出される
(2)クラフトにより、ビジョンが実現される
(3)サイエンスにより効率化されていく

という役割分担だろう。

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