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2015年6月

2015年6月29日 (月)

【PMスタイル考】第102話:モノづくりからコトづくりへ

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Dron◆モノづくりから、コトづくりへ

よくモノづくりから、コトづくりへと言われます。モノづくりとコトづくりはどう違うのでしょうか。

イメージ的にはモノづくりは製造業がこれまでやってきたことで、コトづくりはモノを使った付加価値づくりで、たとえばソリューションサービスのようなイメージがありますし、さらにいえばアップルに代表されるようにブランディングのようなイメージにもつながってきます。今回のPMスタイル考はこの問題を取り上げてみたいと思います。

モノづくりからコトづくりが頻繁に言われるようになってきたのは、おそらくアップルがiPod(携帯オーディオ)の展開を始めてからだと思われます。携帯オーディオではそれまではソニーのウォークマンの独壇場で、デジタル化にも早々に対応し、独壇場は続くと考えられてきました。

ところが、iPodをつくったスティーブ・ジョブズはiPodは単に携帯用オーディオとしてiPodを提供するだけなく、iTuneという仕組みを作り、音楽をオンラインで1曲ごとに購入できるサービスを展開しました。それまではCDを購入して、録音しnていたことを考えると、大変な付加価値を提供したわけで、まさにコトづくりをやってのけたわけです。

このあたりから、ハードウエアは入れ物で、ソフトウエアで競争するという方向に大きく変わってきました。ただし、ハードウエアはコトづくりの対象から完全に外れたかというとそうでもありません。この点については、あとでお話します。

表面的には、モノづくりからコトづくりへということで、ハードウエア作りからソフトウエア作りに代わったわけですが、この話はもう少し奥があります。そこを考えてみたいと思います。



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2015年6月19日 (金)

【プロデューサーの走り書き(3)】モノ的発想とコト的発想の本質的な違い

Kotoよくモノづくりから、コトづくりへといわれるが、これらはどのように違うのだろうか?

たとえば、「荷物を積んだドローン」というモノと、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはどう違うのだろうか?

「荷物を積んだドローン」というモノは客観的なものであり、それを見ている人間の主観に関係ないものだ。ところが、「ドローンで荷物を運ぶ」というコトはドローンという客観的なモノだけではない。そこに何らかの形で関わる「わたし」がいて、主観が入ることで初めて「ドローンで荷物を運ぶ」というコトが生まれるのだ。「荷物を運ぶ」というのは「わたし」がそう思っているだけであって、あくまでも主観であることに注意をしてほしい。第三者にはドローンを飛ばして楽しんでいるだけにみえているかもしれない。

言い換えると、「荷物を積んだドローン」はモノであり、誰がみても「荷物を積んだドローン」なのだが、コトはそれを経験している人間の主観も含んでおり、「荷物を運ぶ」という主観が相俟って「ドローンで荷物を運ぶ」ということになる。これが、モノとコトの本質的な違いだといえる。

さて、このように考えたときに、重要なポイントは、モノは個人の主観を排除した分析的な視点でも見えるが、コトは見えないということだ。

そのように考えると、個人の主観を排除した分析的な視点では、モノは見えても、コトは見えない。従って、コトづくりにおいては、「わたし」(あるいは人間)が主体となり、何と何を結び付ければ、顧客に対して新しい関係性(コト)を生み出すことができるのかを考えなくてはならないことだ。

ここでポイントになるのがコト的な価値としてのコンセプトである。

コトづくりの天才というと必ず出てくるスティーブ・ジョブズは、iPodを創ったときにシンプルな卓越したデザインのハードウエア(モノ)を作り上げると同時に、「どのレコード会社のミュージシャンの曲もネットワークからいつでもデジタル情報のまま取り込んで楽しむことができる」というコトの価値を見出し、創り上げた。これが、iPodの成功要因になった。

この例がおそらく、コトづくりの威力を世の中に知らしめた例であると同時に、コンセプトの重要性を知らしめた例だといえる。

この例から分かるように、コトづくりは主観だけではなく、モノという客観とコトという主観のバランスを取ることが求められる。

2015年6月18日 (木)

【PMstyle Proposition:004】「センス」としての「コンセプチュアルスキル」

SensePMsytleではコンセプチュアルスキルの定義を

周囲で起こっている事柄や状況を構造的、概念的に捉え、事柄や問題の本質を見極めるスキル

だとしている。これは、提唱者であるロバーツ・カッツの定義を採用したものである。

ところが、この定義、「よく分からない」ということで、あまり評判がよくない。何かと、聞かれることが多くなってきたので、記事にしておく。

実はコンセプチュアルスキルを持ち出す前から、コンセプチュアルスキルに関する活動はしていた。

「センス」

である。

センスの定義もあるようでないのだが、例えば、一橋大学の楠木建先生によると、スキルではカバーできないものということになる。楠木先生は、会計やファイナンスはスキルでカバーできても、戦略策定はセンスでしかできないとおっしゃっている。

確かにその通りであるが、僕はもう少し広くというか、構造的に考えている。スキルによる活動のクオリティを上げる、あるいは成果を大きくするのがセンスだ。会計には会計なりのセンスが必要であり、戦略策定には戦略策定なりのセンスが必要だ。

コンセプチュアルスキルは、カッツの言葉でいうと、テクニカルスキルやヒューマンスキルによる業務の質を向上させるものである。

カッツは職位が上がるとコンセプチュアルスキルの重要性が増してくるといっているが、本質的には、職位が上がると上流で業務をしなくてはならない。上流の業務をするにはコンセプチュアルスキルが必要だということだ。

まあ、これをセンスだと言ってしまうと実も蓋もないので、あまり言わないようにしている。

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2015年6月16日 (火)

コンセプチュアルスキル講座プログラム(2015年度)

Faq2PMstyleプロデューサーの好川哲人です。今年度のコンセプチュアルスキル講座についてのご案内をさせて戴きます。

コンセプチュアルスキル講座は、概念化スキル(コンセプチュアルスキル)の向上を目指す講座です。

これまでは、主にプロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーを対象にしてきましたが、今年度からは一般のマネジャーやリーダーを対象とした講座に装いを変えています。

すでに一部の講座は終了しましたが、上期のラインナップは以下の通りです。

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2015年6月10日 (水)

【PMスタイル考】第101話:創造性と生産性の不思議な関係

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

Tenbin_2◆創造性と生産性

一般的に創造性は生産性と相反するものとされます。

生産性を高めるには、ゴールを明確に規定し、ゴールにたどり着く手順をできるだけ標準化し、標準を無駄のないものに改善していくというイメージがあります。これに対して、創造性の高いやり方は、ゴールを自由に設定し、やり方を自由に考えながら、失敗による手戻りを厭わず、進めていくイメージがあります。このため、両者は水と油のような関係にあると考えられているわけです。

ハーバード・ビジネス・レビューの2014年11月号で「創造性vs生産性」という特集がありました。その中で立命館大学の琴坂将広准教授は、企業は創造性によって提供価値を大きくする一方で、生産性を高め、生産費用の低減をしなくてはならない困難に直面しているとした上で、ウィリアム・アバナシーの「生産性ジレンマ」を取り上げ、その両立の困難さを指摘しています。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2014年 11月号
│特集│ 創造性 vs. 生産性

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