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2015年4月

2015年4月21日 (火)

【プロデューサーの走り書き(2)】ビジネスのヒントを非ビジネス書から得られるか

Booksこのブログとは直接関係ないが、ビジネス書の杜ブログを休止して1年になる。今でも初めて会うひとから「ブログを読んでいます」といわれることがあるし、それなりにアクセスもあるので、若干、複雑な気持ちでもある。

著者から感謝のメールをもらったとか、出版社からクレームをつけられたとか、いろいろと思い出もあるが、1年経ったので言えることもある。

その一つが止めた理由。一つの理由は、書籍情報のサービスはかれこれ、25年くらい続けてきたので飽きたというのがあるのだが、もっと本質的な理由は、ビジネス書で本当にビジネスに必要な知識が得られるということについて懐疑的になったことにある。

今でもフェースブック版はやっているので誤解のないように言っておくが、ビジネス書が役に立たないといっているわけではなく、ビジネスに必要な知識を得る入口としてはビジネス書がいいと思う。

ただ、ある程度、その分野のことが分かってしまうと、ほとんどのビジネス書は役に立たない。実は、もうやめようと思ったきっかけになったのは、HONZの成毛眞さんが何かに書かれていた

ビジネスのヒントは「ビジネス書」からではなく「非ビジネス書」から発見すべきだ

という言葉に出会ったこと。

これを見つけてしばらく、ビジネス書の杜を非ビジネス書も含めてビジネスに役立つ本という方向転換をすることを考えたのだが、無理だと思い、結局、止めた。

無理だと思った理由は2つあって、一つは非ビジネス書という分野が広すぎて、一人でブログするにはとてもクオリティが保てないと思ったからだ。

もう一つの理由は、どれだけの人が、非ビジネス書からビジネスのヒントを発見できるかということが疑問だったからだ。

たとえば、営業の方法を書いたビジネス書であれば営業という視点から評価すればよい。ところが、動物の求愛行為から得られるビジネスのヒントは営業だけではなく、極論すれば無限にある。つまり、非ビジネス書がビジネスにどのようなヒントを与えてくれるかを明確に書くことはできない。

すると、非ビジネス書を読んで何を得られるか、得られないかは読む人次第である。その際、何よりの問題はコンセプチュアルスキルが必要となることだ。コンセプチュアルスキルの高い人は多くのヒントが得られ、低い人は何も得られない。

ビジネスの中ですら、営業の人たちの経験は自分たちの参考にはならないと言ってはばからないエンジニアが多いことを考えると、動物の行為から何かを学ぼうというのはハードルが高すぎる。

そう考えて、ビジネス書の杜ブログを続けるより、コンセプチュアルスキルをトレーニングすることに時間を使うことを選んだ。これがビジネス書の杜を止めたもっとも大きな理由である。

2015年4月10日 (金)

【コンセプチュアルスタイル考】第11話:5つの軸について考える(2)~洞察は直観から生まれる

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9984019/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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◆直観と直感

コンセプチュアルスキルを構成する5つの軸に関する考察の第2弾は直観と論理という軸です。本論に入る前に言葉の整理をしておきたいと思います。辞書を引くと、「ちょっかん」という漢字には「直感」と「直観」の2つがあります。

両方に共通しているのは、推論や考察をせずに、対象を捉える(認識すること)でありますが、直感という場合には、感覚的に感じ取るようなニュアンスがあります。これに対して、直観という場合には、経験(知識)に基づいて対象を捉えることで、哲学的な概念です。

もう一つ違いを上げると、直感というのは本能ですが、直観というのは本能ではないところが違いだと言えます。

5軸の一つとして使っているのは、直観ですが、これはビジネスやマネジメントにおいては、経験に基づき勘が働くということはよくありますが、本当に感性だけで判断していることは少ないと考えているからです。

その理由ですが、ビジネスの判断はトップマネジメントであっても最終的に他者を納得させるだけの合理性が必要になります。感性だけで判断しても分かる人には分かるということでこの合理性は生まれません。



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【PMスタイル考】第100話:コンセプチュアルスキルを再定義する~「視点のダイバーシティ」をもたらすコンセプチュアルスキル

バックナンバー https://mat.lekumo.biz/pmstyle/cat9747239/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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◆古くて新しい問題「コンセプチュアルスキル」

PMスタイル考の記念すべき100話のテーマをいろいろと考えましたが、コンセプチュアルスキルとダイバーシティという2つの大きなテーマを組み合せたテーマにしました。

コンセプチュアルスキルはこの数年、力を入れて取り組んでいる分野ですが、「考え抜く」マネジメントというPMstyleの基本スタイルの基盤になるものです。その意味で、100話目にふさわしいテーマです。

PMstyle+では別途、「」という連載もやっていますが、この第1回にコンセプチュアルスキルの起源のようなものを書きました。ちょうど、2年くらい前の記事です。

【コンセプチュアルスタイル考】第1話:コンセプチュアルスキルの時代

この記事にも書きましたように、コンセプチュアルスキルはハーバード大学のロバート・カッツ教授が、1955年にハーバードビジネスレビューに発表した論文

ロバート・L・カッツ「スキル・アプローチによる優秀な管理者への道」 Harvard Business Review(1955)

でコンセプチュアルスキルという言葉を使ったのが起源だといわれています。この論文は、工場で働くマネジャー(工場長)にどのようなスキルが必要かを調査・分析し、整理したものです。もう50年以上前の話ですが、未だに多くのマネジャーはコンセプチュアルスキルが弱いといわれますので、古くて、新しい問題です。

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