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2013年1月

2013年1月31日 (木)

【PMスタイル考】第62話:「摺合せ」神話

Suriawase◆摺合せとは

日本人のビジネスマンが好んで使う言葉の一つに、「摺合せ」という言葉があります。摺合せができる能力というのは高く評価される傾向があります。

日本語としての一般的な意味は

交渉事などで、それぞれの情報などを出しあって調整し、妥協点を見いだしてゆくこと

で、「和を以て貴しとなす」日本流のビジネスでは日常的に使われる言葉です。たとえば、落としどころを擦り合わせるとか、契約条件を擦り合わせるとかいいます。ITのように要求仕様をすり合わせるといった使い方をすることもあります。

摺合せは機械工学で専門用語としても使われ、その場合は、

機械部品の仕上げを行う場合に、部品表面が正しい均一面をもつように精密に仕上げていく作業。

を意味します。

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2013年1月21日 (月)

【PMスタイル考】第61話:イノベーション・イニシャティブ

Innovation1◆イニシャティブ=幸福

「イニシャティブ」という言葉があります。戦略イニシャティブ、システムイニシャティブといった使われ方をする言葉です。日本語でいえば取り組みという意味だと思いますが、そこには、主体性が絡んできます。

セス・ゴーディンは、これからの組織のあり方を描いた著書「トライブ」の中で、トライブ(単語は部族と言う意味だが、コミュニティに相当する)を推進するものとして、

イニシャティブ=幸福

という方程式を示しています。どういう意味かといいますと、斬新でスタイリッシュ、常識破りで現代的な魅力のある製品やサービスを作りだすにはイニシャティブが大切で、そのような製品やサービスを生み出すことは「最高に面白い」という副作用をもたらす。そして、面白い仕事は人を夢中にさせ、人生を素晴らしいものにする。だから、「イニシャティブ=幸福」なのだそうです。

ゴーディンらしいロジックですが、斬新さに対して市場が高く評価するものを生み出すにはイニシャティブが重要だということは真実でしょう。

ポイントは主体性にあります。イニシャティブは単なる取り組みではなく、主体的な取り組みなのです。主体的だからこそ、常識を超えた斬新なものが生まれる。そして、ゴーディンのいうようにイニシャティブは人を夢中にさせ、幸福をもたらすのでしょう。

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2013年1月19日 (土)

【プロデューサーの本棚】スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理

4864010978ローマン ピヒラー(江端 一将訳)「スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理―顧客に愛される製品開発」、 ピアソン桐原(2012)


スクラムは基本的に開発オペレーションマネジメントの手法で、プロダクトマネジメントと結びつけた議論があまりなされない。本書は、プロダクトマネジメントの視点からスクラムをどう運用すべきかを考察している。

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2013年1月17日 (木)

【プロデューサーの本棚】組織開発の基本

4990329899リサ・ヘインバーグ(川口大輔訳)「組織開発の基本~組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド~ (ASTDグローバルベーシックシリーズ) 」、ヒューマンバリュー(2012)

ホールシステムアプローチの普及をさせたといっても過言ではない、ヒューマンバリューからの新しいシリーズ。ASTDグローバルベーシックシリーズ。

とりあえず、1冊、目を通してみた。

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【プロデューサーの本棚】戦略実行~立案から結果につなげるフレームワーク

4492557059マーク・モーガン、レイモンド・E・レビット、ウィリアム・マレク(A.T.カーニー、後藤 治、小林暢子訳)「戦略実行~立案から結果につなげるフレームワーク」、東洋経済新報社(2012)


米国でベストセラーになった「EXECUTING YOUR STRATEGY」の日本語版。

原書を読んでいたので、買ったままになっていたが、機会があって読んだ。訳もいいし、よい本だ。

2部に分かれていて、第1部は「正しい戦略を作るために」。

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【プロデューサーの本棚】イノベーション5つの原則

4478017484カーティス・R・カールソン、ウィリアム・W・ウィルモット(楠木 建 監訳、電通イノベーションプロジェクト訳)「イノベーション5つの原則」、ダイヤモンド社(2012)

イノベーションには、創造性が必要で、発明も必要だ。さらに、技術、ビジネスモデル、製造プロセス、デザインなどの要素も必要である。しかし、これだけでは不十分で、

新たな顧客価値を創り出し、市場に送り届けるプロセス

があって、初めてイノベーションになる。これは、SRIのイノベーションに関する知見である。

SRIは、多くのフィールドワークを通じて得られたベストプラクティスから、実践理論を構築した。それが、本書のタイトルにもなっている「イノベーション5つの原則」である。

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【プロデューサーの本棚】イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント

475712287Xビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル(吉田 利子訳)「イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント」、エヌティティ出版(2012)


◆イノベーションのイメージと実態

イノベーションという言葉が頻繁に使われるようになって、どうもイメージに踊らされている感がある。その中で最たるものは、よいアイデアが出てきたらイノベーションは成功したも同然だというイメージだ。

このイメージは違うというのはちょっと考えれば分かる。たとえば、商品を考えてみよう。これまでになかった商品のアイデアが生まれた。この商品がイノベーションになるには、商品を作るための技術開発、生産方法、流通方法など、さまざまなハードルを越えなくてはならない。それらに比べると、商品自体のアイデアを作りだすのはそんなに難しいことではないかもしれない。

言い換えると、よいアイデアというのはイノベーションとして実現され、成功した素のアイデアであり、アイデア自体を絶対的に評価できるものではない。僕は一時、公的機関の目利きの仕事をしていたことがあるが、目利きというのはアイデア自体の評価ではなく、実現方法の評価に近い。

さらにいえば、イノベーションとして成功するには、生産能力が鍵になるかもしれないし、流通能力が鍵になるかもしれない。つまり、あるアイデアを実現できるかどうかが、その組織の基本能力に依存することはよくあることだ。たとえば、ホンダが1994年に、生活創造車という新しいコンセプトで、オデッセイという車を開発した。乗用車ベースのミニバンとして、セダン同等の運動性能を持ち、なおかつセダンよりも広い室内空間を売りにしていたが、ワンボックスカーと比べて特長的である車高の低い形状にしたのは生産ラインの制約があったからだという。オデッセイの場合、組織能力の制約がよい方に作用したわけだが、画期的な商品を開発できても生産できなければイノベーションは起こらない。

この本では、組織既存業務の遂行能力を「パフォーマンスエンジン」と呼んでいるが、パフォーマンスエンジンとどのような関係性を持つかは、イノベーションの成功に大きな影響を与える。

全く新しいコンセプトの商品を開発して、新しい工場とサプライチェーンを作り、新しい流通ネットワークを作っていくということが皆無ではないが、ベンチャーの初期を除けば極めて稀である。

その意味で、イノベーションを既存の事業と切り離して行えるというのは幻想である。この本では、イノベーションを組織の中でどのように行っていけばよいかについて、いくつかの成功事例を分析しながら、体系的にまとめている。

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2013年1月15日 (火)

【PMスタイル考】第60話:与党思考と野党思考

Yoto◆野党とは

選挙も終わりました。3年半の民主党政権で強く印象に残っているのは、最後まで野党だったってことです。消費税アップの決定とか、原発の稼働とか、国民に受けが悪いことをやるときには与党であることを強調していましたが、言動を見ていると最後(選挙戦)まで野党だったように思います。そして、これが国民から評価されるような成果が出せなかった理由ではないかと思います。

辞書を引くと、「野党」とは

政党政治において、政権を担当していない政党

とあります。

政党政治において、政権を担当している政党

とあります。

最近、大和ハウスのCMで、深津絵里さん(妻)とリリーフランキーさん(夫)の扮する夫婦の関係が、野党だ、与党だというCMがありますが、政治だけではなくこの言葉はいろいろな意味で使われています。その一つが、企業です。

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