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2012年5月 7日 (月)

【スポンサーシップ論】第4回 実行フェーズにおいてスポンサーがすべきこと

Sponsorship前回は、プロジェクトスポンサーが、立上げ、計画フェーズにおいてどのようなアクションをとるべきかを述べた。今回は、続きで、実行フェーズのアクションである。


◆実行フェーズにおけるスポンサーのアクション

実行フェーズにおけるプロジェクトスポンサーのアクションは、以下の6つのカテゴリーに分類できる。

(1)リソース支援
(2)進捗レビュー
(3)動機づけ
(4)ミーティングの改善
(5)課題解決
(6)チームの直接的支援



◆リソース支援

(1)のリソース支援は、おそらくプロジェクトマネジャーがスポンサーにもっとも期待することで、

・プロジェクトに必要なリソースを提供する

ことだ。

ここで、スポンサーシップとして重要なことは、プロジェクトマネジャーが必要だというリソースを提供すればよいということではないことだ。プロジェクトマネジャーは自分のチーム編成のビジョンに従って、リソースを求めるが、これに対して、スポンサーは一段高いところから、全体をみて、バランスのよいチームになるようにリソースの提供をしていく必要がある。


◆進捗レビュー

(2)の進捗レビューでは、

・プロジェクトマネジャーと一緒に進捗をレビューする
・場合によっては、チームミーティングに参加し、直接進捗を確認する
・チームの課題と解決状況を確認する
・プロジェクト計画のストレステストを行う

といったアクションをとる必要がある。

進捗レビューで難しいのは、プロジェクトマネジャーとの関係である。すでに述べたようにプロジェクトスポンサーには組織側の上位管理者という役割と、プロジェクト側のスポンサーという役割の両方がある。進捗レビューは特に両者のバランスが問われる。

基本的に進捗レビューにおいて、スポンサーはプロジェクト側の立場をとるべきである。ただし、とにかくプロジェクトの味方をするというのではなく、客観的な視点を持ったプロジェクト寄りの立場をとることが望ましい。

その際、大切なことは現場をきちんと見るということだ。もちろん、日常的にはプロジェクトマネジャーを通じて現場の状況を察知するということでよいが、直感的に合わない場合には進捗ミーティングなどに入っていき、現場の現状を確認する必要がある。

客観性という点でもう一つ大切なことは、計画や見通しに対するレビューのスタンスである。この点で、プロジェクト計画のストレステストを行い、計画の妥当性を評価し、妥当な計画に対して、十分にリスクを識別し、プロジェクトを進めていくことが大切だ。

昨今の傾向として、リスクに対する議論をするものの、リスクとして識別するだけでストレステストをしないままに計画を実行する傾向がある。このような傾向がみられるのはスポンサーシップの不全であり、改めるべきだろう。


◆動機づけ

(3)は動機づけである。動機付けは、現実問題としてスポンサーが唯一、力になれる活動であることが少なくない。動機づけの方法として、

・プロジェクトマネジャーやメンバーが達成したものを可視化する
・プロジェクトが苦境に陥っていれば、励ます
・チームがマイスルトーンの達成や成功を内発的動機で行えるようにする
・オペレーションの改善を自ら行えるように推進する

などがあるが、内発的動機を高めていくことがもっとも望ましいスポンサーシップである。ここで励ましたり気づきを与える際に留意すべき点がある。それは、上方影響力という概念でいわれるもので、スポンサーは組織に対して十分な影響力を持っていなければならない。組織に対する影響力を持たずに、プロジェクトチームに対して励ましをしても、空虚であり、チームの動機を下げることになることをよく認識しておかねばならない。

言い換えると、スポンサーはプロジェクトを立ち上げる段階で、組織に対する影響力を持てるような持って行き方をしなくてはならない。その第一歩は、プロジェクトに対して「当事者」であることを組織に対して宣言することだ。仮にスポンサーの職位が部長だとすれば、当事者であると認識されれば、ほとんど上位者から干渉されることはないだろう。
(4)のミーティングの改善以下は、次回とする。

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