プロジェクトリーダーから戦略実行リーダーへ
◆要求の取捨選択が求められる時代
過去5年間、プロジェクトマネジメントが注目され、プロジェクトリーダーの育成が盛んに行われてきました。プロジェクトリーダーは、市場や顧客の要求をくみ取って、それを商品やサービスとして提供していくことが任務です。その背景には、要求に対応していけば、企業は成長していくという前提がありました。
ところが、この前提は崩れつつあります。まず、市場や顧客の要求が経済的な合理性を欠くことが多くなってきています。つまり、顧客や市場の求める対価で商品やサービスの提供をしても、利益が出なくなってきています。現場はコストに関しては、乾いた雑巾を絞るようなコスト削減が行なってきたにも関わらずです。
もうひとつはもっと深刻な問題で、顧客や市場自身が、自らの要求を明確にできなくなってきました。つまり、市場や顧客の要求をくみ取ってというやり方が通用しなくなってきており、提供側が市場や顧客の意図を斟酌して、商品やサービスを提供していかざるを得なくなってきました。
このような問題を解決するには、従来のように「必要とあればなんでもやる」という流儀を改める必要があります。つまり、要求や顧客自体の優先順位を決めて、取捨選択をせざるを得なくなってきたわけです。
同時に、自社として提供する範囲を決め、そこに対して、資源を徹底的に投入して、提案力をはじめとする組織能力の強化をしていく必要がでてきました。