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2005年8月

2005年8月25日 (木)

ゆとりをもって仕事をしよう(3)

好川がプロジェクトマネジメントの必要性を語るときによく使う例で

 スケジュールが遅れる
  → あせる
    → ミスが重なる
      → ますます、スケジュールが遅れる

 スケジュールが遅れる
  → あせる
    → 残業をする
      → 疲れ、生産性が下がる
       → ますます、スケジュールが遅れる

 予想外の技術的問題がでてくる
   → あせる
    → 冷静に問題解決ができなくなる
     → 解決できる問題も解決できなくなる

といった例があります。いずれも(悪)循環の例なのですが、プロジェクトマネジメントの本質は、悪循環を起こさないようにプロジェクトを粛々と進めること、あるいは、もう少しシニアなプロジェクトマネジメントであれば、個人やチームの中に好循環を引き起こすことだと言えます。

実は悪循環と好循環は紙一重で、その間にあるのが「ゆとり」です。例えば、スケジュールが遅れているときにでも

 ゆとりを持っている<くさび>
  → 冷静に対処方法を考えられる
   → リカバリーの方法を見つける
    → スケジュールを是正できる

となるわけです。つまり、あまり、好ましくない状況で<くさび>となり、状況を反転するのが「ゆとり」です。

ゆとりというと「物理的な時間」だと考えている人が多いようで、そんなのは無理だということになってしまいます。しかし、決してそんなことはありません。例えば、こんな経験をしたことはありませんか?

あるお客さまと業務契約をしたが、初期の計画策定の対応がいろいろな社内調整で遅れ、お客さまから催促をされてやっと約束の期限に間に合った。その後は、ずっとお客さまのペースで、進んで、スコープの確認作業などでイニシャティブをとられ、結果として、スコープクリークが興り、まったくゆとりのないプロジェクトになってしまった

このケースのように、「ゆとりがない」という症状は精神的なものから始まり、それが物理的な症状を生み出すケースが多いのです。ところが精神的にゆとりがない段階では実害がないのであまり真剣に対応しません。忙しいと文句を言いながら、なんとかこなしていきます。

ところがそのうちに本当に物理的な問題が発生して、時間的にゆとりがなくなってしまいます。時間的な問題になる前に、原因を断ち切って精神的なゆとりを持っておく必要があります。これをうまくやれば、好循環に持ち込むことができます。

by 好川哲人

◆関連セミナー

 プロジェクトにゆとりをもたらす5つの法則 

 http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-slack.htm

2005年8月19日 (金)

ゆとりをもって仕事をしよう(2)

弊社ではコンサルティングの中に、エスノグラフィーに取り入れている。エスノグラフィーについては、こちらを参考にしてほしい。

ある年に、CADを開発している企業(部門)で、5ヶ月をかけて延べ18日間のエスノグラフィーを 行ったことがある。テーマはプロジェクトマネージャーの仕事とコンピテンシー。書いたものは門外不出なのだが、非常に多くのことが分かった。まさに、百聞 は一見にしかず。

この仕事では、CADのカスタマイズをする、ほぼ、同条件の2つのプロジェクトのエスノグラフィー。観察対象はプロジェクトAとプロジェクトB。双方とも期間は3ヶ月。要員数は両方とも6~7名。

プロジェクトAはほとんど計画通りに進んだ。プロジェクトBは2ヶ月目の要件を確定する時期にすでに10%のスケジュール遅れが生じた。最終的に、Bは5ヶ月の期間を要した。

この2つのプロジェクトを見ていると面白いことに気づいた。メンバーのスキル、プロジェクトマネージャーの力量はほとんど変わらない。申請している 残業時間、実態の残業時間もほとんど変わらない。つまり、両方とも、同じくらいの忙しさで仕事をしていたことになる。お客さんは直接の観察の対象にできな かったためはっきりしないが、インタビューをする限りでは、お客さんもそんなに変わらない。ところが、成果に差が出た。

顕著に違った点が1点。この会社では朝、朝礼をすることがルールになっている。プロジェクトAは朝礼を非常に丁寧にやっていた。プロジェクトBは形 式的に5分程度で週に1回進捗会議をやっていた。プロジェクト期間が3ヶ月目に入ることにそれぞれのメンバーに対して、プロジェクトの内容に関するインタ ビューを試みた。Aは各メンバーがそれなりに何をやっているかを知っており、プロジェクトマネージャーの思惑やプロジェクトの目的もよく理解していた。B は1名を除くとほとんどできていない。

見た目に、Aのメンバーは余裕を持って仕事をしている。朝礼で時間がかかる場合でもしっかりとした議論をしている。他のメンバーの予定に変更があってもほとんど手待ちをすることなく、自分のスケジュールの修正をしている。

ところがBの方は、バタバタ。何か変更があろうものなら、みんなが走り回る状態になる。普段もまったく余裕がない。追い詰められたような雰囲気で仕事をしている。

この2つの差はどこにあるのだろうか?はっきりしているのは、Aプロジェクトはそれぞれのメンバーに全体の動きが見えている。その上で、自分の判断で毎日どのように行動すべきかを決定している。自立するとはそういうことだ。

Bはメンバーに全体の動きが見えていない。したがって、すべての変化は突然やってくるので、その対処に追われる。

結果として現れるのは大きな違いであるが、実はこの違いはそんなに大きな違いではない。プロジェクトマネジメントの概念に「プロアクティブ」という概念がある。日本語でいえば、先手必勝。最初の手が自分から打てるかどうかの違いである。

プロジェクトAのプロジェクトマネージャーはメンバーの先手必勝をうまく演出している。プロジェクトBのプロジェクトマネージャーはそれがあまりう まくできていない。その違いだ。先手必勝によりゆとりが生まれる。ゆとりはゆとりを生み出す。その原資となるゆとりを如何に生み出すかがプロジェクトマ ネージャーのスキルである。

このような議論をするときにメンバーの資質を問題にする人が必ずいる。つまり、誰でも同じように先手必勝で動けるわけではないという議論だ。それはそのとおりだと思う。

しかし、もうひとつ忘れてはならないことがある。それは、「ゆとりがゆとりを生む」というのは個人の話にとどまらない。チームの話でもある。すなわ ち、チームのあるメンバーのゆとりは、別のメンバーにもゆとりを生み出す。経験的に、非常に優れた人材がメンバーにいるチームはモチベーションのコント ロールさえうまくできていれば、他のメンバーの生産性があがる傾向がある。優れたメンバーに過度に依存するのは、モチベーションがうまくコントロールでき ないためである。これもまた、プロジェクトマネージャーの仕事であろう。

by 好川哲人

◆関連セミナー

 プロジェクトにゆとりをもたらす5つの法則 

 http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-slack.htm

ゆとりをもって仕事をしよう(1)

個人で言えばスキルアップ、キャリアデザイン、プロジェクトチームで言えば、チーム育成、組織でいえばプロセス改善と、さまざまなレベルでのパフォーマンス改善に強い関心が払われるようになってきた。

しかし、どれをとってみてもうまく行っている企業や組織はまれである。

その原因を考えてみたときに、行き着くのが「忙しい症候群」である。誰もが忙しい。よって、そんな先のことを考えている暇はない!

しかし、忙しいといって逃げ回っている限り、より忙しくなることはあっても、忙しさが改善されることはない。ハムスターの「まわし車」のごとく、そこから降りない限り、回り続けなくてはならない。

そこで、あなたに考えてほしいことは、ゆとりを取り戻す工夫である。

あなたがラインのマネージャーであれば、部下のゆとりを取り戻し、部下の成長の第一歩を提供しよう。

あなたがプロジェクトマネージャーやチームリーダーであれば、メンバーのゆとりを取り戻し、チームのパフォーマンス向上の第一歩を踏み出そう。

あなたがプロジェクトのメンバーであれば、自分自身の成長のために、立ち止まり、振り返る時間を作る工夫をしよう。

セミナー「プロジェクトにゆとりをもたらす5つの法則」

プロジェクトといえば、短期決戦としてテンションを上げ、数多くの難題を乗り切っていくというイメージが強い。プロジェクトXなどは、まさにこのイメージである。このようなプロジェクトの進め方は、日常業務がプロジェクトの連続であるようなケースには適さない。

一方で、プロジェクトXにならないためにプロジェクトマネジメントがあるのだと主張するプロジェクトマネジメント信奉者も多くの場合、問題を管理するためにプロジェクトマネジメントを使っているが、問題解決の部分は厳しい環境の中でメンバーにゆだねられることが多く、結果としてうまく行かないケースが多い。

このように考えてみると、問題の本質に「ゆとり(Slack)」のなさがあるように思える。

この問題提起に対して、多くの人は、そもそも、納期を考えても、コストを考えても、プロジェクトに余裕という言葉など考えられないという。しかし、結果としてみれば、多くのプロジェクトは「ムダ」な時間を使っている。手戻り、スコープ変更など、いろいろである。

プロジェクトで「仮に」といっても後の祭りだが、仮にこれらの時間をプロジェクトの作業の改善に当てていれば、納期遅れを起こさなかっただろういう話はプロジェクト終了後の振り返りに中で実によく出てくるのだ。

そして、それができない大きな理由に「ゆとりのなさ」がある。

ゆとりが作れない理由はさまざまであるが、いろいろなケースのひとつだけ共通していえることは「悪循環」を起こしているということだ。それが、どんなプロジェクトであり、一旦、悪循環を起こすと、問題解決が新たな問題を生み、どんどん、ゆとりがなくなってくる。

セミナーでは、この悪循環を断ち切るための5つの法則とその法則の実践例(プラクティス)を紹介する。紹介する5つの法則とは以下のようなものである。

1.リアリティのある計画を作る
2.プロジェクトの余裕時間をチームの共有財産とする
3.合理的にプレッシャーをかける
4.チームビルディングに十分な時間をかける
5.リスクを適切に管理する

この5つの法則を適用すれば、あなたのプロジェクトにもゆとりが生まれることは間違いない。しかし、この法則の適用そのものがゆとりのない状態では難しい。セミナーでは、そのようなジレンマの中で、第1歩を踏み出すにはどうすればよいかについても解説する

◆セミナーURL

プロジェクトにゆとりをもたらす5つの法則

http://www.pmos.jp/juku/regular/pmp-slack.htm

by:プロジェクトマネジメントオフィス

2005年8月 3日 (水)

セミナー「メンバーとしてのリスク管理」

プロジェクトを計画するのはプロジェクトマネージャーやチームリーダーのプロジェクトマネジメントチームですが、その計画を実行するのはメンバーです。

プロジェクトの成功には、メンバーがプロジェクト計画を理解し、確実にプロジェクト計画を実行する力「メンバーシップ力」が必要です。

本セミナーでは、確実にプロジェクト作業を実行し成果を上げることができるように、リスクに対する考え方であるリスクマインドを身につけることを目標としています。
メンバーはプロジェクトの最前線で作業を行っています。つまり、プロジェクトに対して影響を与えるリスクというものを最も身近に感じることができるはずです。そのリスクの発生をどれだけ早くキャッチできるかによって、プロジェクトの成否は大きく変わります。

もちろん、メンバーはバラバラなことを考えてバラバラなことを行うのでは、プロジェクト全体としての成果は出ませんので、プロジェクト計画にしたがって、同じ方向を向いて計画を実行していきます。その中で、自分の作業について、リスクの観点からもう一歩進んで、考えて見ませんか。
メンバーシップ力を向上させたい方のご参加をお待ちしています!!

◆セミナーURL

メンバーとしてのリスク管理

http://www.pmos.jp/juku/membership/pmm-risk.htm