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2014年1月25日 (土)

エンジニアリングの知見をビジネスに応用する

484591316x_3ジョン・クプレナス、マシュー・フレデリック(美谷広海訳)「エンジニアに学ぶ101のアイデア」、 フィルムアート社(2013)

お奨め度:★★★★★

いろいろな分野のエンジニアリングの101の方法論を通じて、エンジニアのものの見方と発想を学ぶ。モノ作りにもイノベーションにも効く常識、理論、実践は、エンジニアの人以外にもたくさんの思考のヒントを与えてくれる。エンジニアはもちろん、ビジネスマンにお奨めの一冊。


大学の工学部は木についていろいろと教えてくれるが、森についてはおしえてくれない。森が分からないままで会社に入っても森を意識することはない。そして、年輪を重ねていく。

このようなキャリアは技術開発には非常に効果的である。木を育てていくアイデアはどんどん生まれ、木は育てていく。ただし、ガラパゴスにしか生えていない木だ。

エ ンジニアリングと工学は似て非なるところがある。エンジニアリングとは森、つまり、システムを作ることである。工学の対象は木であり、技術である。した がって木にいくら詳しくなっても、イノベーションを生み出すことはできない。これが、日本がイノベーション後進国になっている理由の一つだ。

この本は、エンジニアリングの方法論を通じて、関係性のあり方、つまり、システムのデザインの原理を学ぶことができる。それは、ビジネスにもそのまま適用できる。

いくつか、面白い項目を取り上げる。まず、版元にサンプル提示があるのは次の5つ。これらはアマゾンのページでも見ることができる。

・エンジニアリングはブラックボックスによって成功し、失敗する。
・工学の神髄は計算することではない。問題を解決することである。
・ロータリーはもっとも安全な、もっとも効率のよい交差点である。
・発明とは頭脳と材料を混ぜることである。より頭を使えば材料は少なくなる。
・環境工学のパラダイムシフト。


僕 はエンジニア出身なので、エンジニアリングの仕事で培った知識のアナロジーでものを考えることが多い。この本にもよく使う原理がいくつも入っている。ビジ ネスでよく使っているよく使う原理ベスト10は以下の通り。いずれもエンジニアリングの法則としても重要なものばかりだ。

・初期の決断にはもっとも大きな影響がある
・完全な信頼性が常に望ましいわけではない
・部品が壊れるように設計する
・自然の秩序を活かす
・体系的に考えろ
・平衡とは静的ではなく動的な状態である
・シーソーはモーメントのバランスによって動く
・「何を」だけではなく、「なぜか」を明確にする
・設計のための設計がある
・ひとつのことを正しく実行しながら、ひとつ以上のことをする

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