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2013年12月31日 (火)

問題解決に必要なリーダーシップ

4478023417伊賀 泰代「採用基準」、ダイヤモンド社(2012)

お奨め度:★★★★★

マッキンゼーで12年間採用マネジャーを務めた著者が、問題解決を行うには、地頭や論理的思考力よりリーダーシップが大切だといい、リーダーシップのあり方について論じた一冊。

マッキンゼー流のリーダーと日本企業にありがちなリーダーの比較を行い、日本のリーダーという概念の問題点を指摘している。


僕がMBAコースに入ったのは1995年だが、この時代には「リーダーシップ」って何という時代だった。ゼミの担当教授だったのは今や日本のリーダーシッ プ論のグルともいえる金井壽宏先生だったが、「リーダーシップ」はお化け概念(実態がなんだかよく分からないの意味)だとよく言われていた。

それから20年近く経つが、リーダーシップやリーダーという言葉は普通に使われているが、欧米とは少し違うイメージで使われるようになってきたようにも思える。この本は何が違うかを明確にしている。

こ の本によると、日本人はリーダーシップをネガティブに捉えているという。仕事や研修でリーダーをやってくれる人というと手は上がらない。リーダーになった からには自分の意見を言い、引っ張って行かなくてはならないと考えているから躊躇する。もっと極端にいえば、自分の意見で人を動かし、自分は手を動かさな いというイメージを持つ人すらいると指摘する。これは日本人の価値感からすると好ましいとは言えない人材像である。

著者はこの背景には、「成果を最優先しない」からだという。成果が重要であることを分かっていないわけではない。しかし、ビジネスにおいてすら、成果より重要なものがあると考えることがあり、それをリーダーになると一手に背負う必要があると考える。

マッ キンゼーが考えているリーダーシップは誰か一人のリーダーがいて、引っ張っていくというようなものではないというのがこの本のもっともこだわっているとこ ろ。つまり、チームは何よりも成果を上げることが求められる。そのためには、チームの全員がリーダーであり、局面局面でリーダーシップを発揮しなくては チームのパフォーマンスが上がらないと考える。

著者はこれをリーダーシップ・キャパシティ(総量)と呼び、成果はカリスマリーダーがいることより、リーダーシップ・キャパシティで決まると主張している。リーダーシップキャパシティを上げるためにはそのチームのメンバーのリーダー経験が問題になる。

こ の本の重要な指摘の一つは、問題解決にはリーダーシップが不可欠で、頭がいいだけではダメだと言う指摘。これは言われてみればその通りで、いくら卓越した 問題解決策を考えることができても、実行できなければ問題は解決しない。変革のビジョンを作っても実行しなければ何も変わらない。実行するにはあらゆるス テークホルダーを動かすリーダーシップが不可欠であるというもの。そのためには問題解決に巻き込んでいくリーダーシップも必要だ。

二つ目の指摘はリーダーになるということは決めるということであり、決めたくないのでリーダーになりたがらないという心理を持つという指摘。

三つ目の重要な指摘は、日本人は大きなプロジェクトをやるとか、危機時とかには強力なリーダーが必要だと考えるが、そんな虫のいい話はあり得ないという指摘。リーダーシップは日常的に発揮していてはじめて本当に成果に重要な影響があるときに発揮できる。

マッ キンゼーでは社内のチーム活動とクライアント向けのチーム活動を分けていて、社内のチーム活動がリーダーシップの育成の場になっている。元をただせばこの 議論は会社に入る前にリーダー活動をしているかという話であり、日常生活の中で意識して開発できるものだと言っている。

この本では、マッ キンゼーのチームの考え方にあまり触れないでリーダーシップの議論をしている。しかし、この議論の本質はリーダーシップの議論なのだろうか?確かに人材マ ネジメントの視点からいえば、この本に書いてあるようなリーダーシップのあり方は合理的であり、納得性もあるが、それはあくまでも組織やチームのあり方を 前提にした話だ。

ここで言っているリーダーシップのあり方は、マッキンゼー流のチーム(プロジェクト)に求められるリーダーシップのあり 方である。そこはよく考えておく必要がある。彼らのいうワーキンググループでこの本にあるようなリーダーやリーダーシップのあり方は必要ない。そして、 チームが必要か、ワーキンググループが効率的かは課題の性質による。

もちろん、今、直面している課題はチームによる解決が必要なものばかりだから、組織はこの本のようなリーダーシップを必要とするわけだが、そこを混乱しないようしなくてはならない。そのあたりをきちんと整理するには、これ もマッキンゼーのOBである瀧本哲夫さんの書いたチームの本が参考になる。

瀧本 哲史「君に友だちはいらない」、講談社(2013)

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