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2011年12月 1日 (木)

三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で先決まる(ファンが選ぶビジネス書24)

4844371339上田 比呂志「ディズニーと三越で学んできた日本人にしかできない「気づかい」の習慣」、クロスメディア・パブリッシング(2011)

お奨め度:★★★★

※facebook記事「要求を聞くのではなく、慮る

老舗料亭・橘屋に生まれ、三越、ディズニーで働く経験を持つ著者が、「気づかい」をテーマに、「心」、「スキル」、「仕組み」のあり方をといた一冊。ベテランのコーチだけあって、ストレートに主張をするよりも、自分の経験、歴史的な薀蓄、ある場面で感じたこと、思ったことなどを紹介することにより、読者に気づきを与えるようなスタイルの本になっている。

全体として33のポイントが説かれているが、19に、江戸時代に「子育てしぐさ」という丁稚を立派な商人に育てるためのマニュアルがあったという話がある。このマニュアルは

三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で先決まる

という教育方針になっているという。三つ心で3歳までに立派な心を教えなさい。六つ躾で、6歳までに躾をしなさい。九つ言葉で、9歳までにお世辞がいえるようにしなさい。十二文で12歳までに手紙が書けるようにしなさい。十五理で、15歳までに世の中の理、森羅万象を理解させなさい。という意味。

この本の基本にあるのは、気配りを身につける順序は「心、躾、言葉、文、理」であると考えているように思える。

最初の3つのポイントは、まず、料亭で学んだ心を取り上げている。ここでは、気づかいとは

心をもって正しきことを行うことであり、心とは、人を思いやる気持ち、正しいとは相手の意に沿っているかどうか

であると説く。つまり、「心を込めて、相手が望むことをする」のが気配りである。

次に、型。心にしたがって行動するにはスキルが必要なことがある。いわゆる業務スキルだ。ここで気づかいの、ポイントになるのは、「意識」だという。意識を持つと、身につけたスキルをほかのあらゆる物事を結びついていく。

たとえば、著者は「人に喜んでもらうにはどんなことをすればよいか」という意識を持っていたので、「市場を調べて、ターゲットを固めて、どう声をかけるか」という一連のスキルがいろいろなところで役立っているという。

気づかいにおいては、

周囲を見渡そうとする意識
人の気持ちを察しようとする意識

を持つことがポイントである。このような状態を意識のアンテナを立てておくと称している。一般的にいえば、意識は「問題意識」である。問題意識があるから、スキルの習得が加速し、また、習得したスキルが活用でき、スキルが強化されていく。

三つ目は仕組み。この本を読んで興味深かったことの一つは、心やスキル橘屋や三越が中心であるが、いろいろな事例が出てくる。しかし、仕組みについては、ほぼ、ディズニー。それだけ、卓越しているということか。

ディズニーの仕組みづくりは、明確なコンセプトの元に、それを実現するための設備設計、スタッフ教育、組織作りを科学的に行っている。具体的には、「ゲストを幸せにする」というコンセプトがある。このために、施設はもちろんだが、キャストの選抜や、教育を徹底的に行う。キャストになってもすぐには表にはでない。裏方で教育される。表に出たときには、一定の品質が保証される仕組みがある。

また、モチベーションの維持のための仕組みもある。出身国別の食堂、家族を無料招待する報奨制度、ゲストのエピソードを共有する制度などだ。これらは思い付きではなく、心理学者やエンジニアなどの専門家によって、科学的に設計されている。

仕組みの重要性は、工夫や気づかいは全員でやらなくては組織に浸透しないという点にある。チームの中の何人かができるというのではだめで、全員ができて初めて組織としてできるようになる。

著者は面白い指摘をしている。それは「気が利く社員を育てるには、マネジメントする側が気づかいしないとできない」という指摘だ。日本人は、これを属人的に考えてきた。できる人とできない人がいることを肯定的に捉えてきたように思う。しかし、もはや、そのような時代ではなく、組織としてできないと競争に勝てないということだ。

そのための仕組みである。さらに興味深いのはよく知られているようにディズニーにはマニュアルはない。仕組みを作ることによって人を育て、マニュアルを超えた仕事ができるようにする。

気づかいについては、このことの意味は多いのだろう。

このようなフレームワークを頭において、読んでみると、一層、得られる気づきが深まると思う。

最後に、一番、印象に残ったポイントに触れておく。32で

余白を感じ取る、行間を読む、感性を磨く

というものだ。このような感性は文化的なものであり、ディズニーをもってしても、仕組化できなかったという。「十五理で先決まる」というが、決まらな先もあるということだ。この話は、続編でぜひ、取り上げて欲しい。心、スキル、仕組み以外に文化という要素があるとすれば、それをどのように構築していくかは非常に興味深い。

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