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2009年7月

2009年7月31日 (金)

リビングサービスは普及するか【ほぼ日読書日記 2009年7月30日】

関係者の間では結構話題になっている本を頂戴した。早速、読了。

マーク・シルベスター、モヒ・アメッド「リビングサービス―感動を呼ぶITサービス革新が今始まる」、日経BP社(2009)

内容はおもしろい。新しい時代を予感させ、わくわくする。
確かに、プロデュースとITサービスを結びつける本かもしれない。ただ、こういう抽象論をインプリメントし、発展されるには、コンセプチャルスキルの低い日本企業はすぐには取り込めないだろう。

読んでいるうちに、なんとなく、この本を思い出した。

マイケル・A. クスマノ「日本のソフトウェア戦略―アメリカ式経営への挑戦」三田出版会(1993)

この本は、東芝、日立をはじめとする、日本のソフトウェアファクトリーについてのレポートで、その後、このクスマノ博士のレポートが刺激になって、マイクロソフトがOfficeの開発でソフトウェアファクトリーを構築し、進化させた。21世紀になってから、今度は方法論として開発環境の提供を始めた。それが契機になり、また、折からの組み込みソフトウェアブームと重なり、ソフトウェアファクトリーが再び進化を始めた。このような50年の動きのターニングポイントになった一冊。

リビングサービスでマイクロソフトになるのはどこだろう。。。

2009年7月30日 (木)

サカナの場作り、ネコのイノベーション【ほぼ日読書日記 2009年7月29日】

ほぼ、1日コンサル。仕事を終えた後で1冊。

もう10年前。「フィッシュ!」で独特の「場のマネジメント」理論を披露してくれたスティーヴン・ランディン博士のイノベーション論。今度はネコ。サザエさんの世界だな。

スティーヴン・ランディン(野口吉昭監修) 「キャッツ―ネコに学ぶ組織を変える「9つの教え」」、ティー・オーエンタテインメント(2009)

ネコを

・好奇心が旺盛
・自立しマイペース
・臨機応変
・賢い
・スマート
・哲学する
・客観的に見ている

といった特徴を持つネコはイノベーションを起こす可能性が高いという。

まあ、これはこれでそれなりに納得感があるし、スティーヴン・ランディンの言っていることだからそうなんだろうと思わないでもない。

が、ネコにはこういう見方もある。

「自己実現」に幻想を持たず、出世のためにあくせくせず。滅私奉公に背を向けつつも、得意分野には爪を磨く。

この本だ。

山本 直人「ネコ型社員の時代―自己実現幻想を超えて」、新潮社(2009)

犬でだめなことは共通しているが、微妙に違う。まさに、どちらに転ぶかはマネジメントにかかっている。

2009年7月29日 (水)

マネジメントはクリエイティブの触媒【ほぼ日読書日記 2009年7月28日】

また、雨で新幹線が止まりそうな気配だったので、前日の夜、移動。新幹線車中で1冊。

ハーバードビジネスレビューに掲載されたピクサーの社長エド・キャットマルのマネジメント論。書籍のページにして70ページほどの小論であるが、非常におもしろかったし、いろいろなことを想像させてくれる。

エド・キャットマル(小西未来訳)「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか」、ランダムハウス講談社(2009)

翻訳をした小西未来さんが、その後につけているレポートは、取材をした上で、経営学のフレームワークを使ってピクチャーのマネジメントを説明している。頭はすっきりしたが、まだまだ、隠れている部分があるような気がする。

日本では職人=聖域という前提の中で、卓越したもの作りが行われてきたと言われている。確かにそういう構図はあると思うが、実はこの構図はもの作りに限定されたものではなく、クリエイターと言われる人材全般に存在している構図。

ジブリの鈴木 敏夫さんの

鈴木 敏夫「仕事道楽―スタジオジブリの現場」、岩波書店(2008)

を読んだときにも感じたが、ピクチャーにしても管理はされているようには思えない。しかし、マネジメントは思いっきりしているし、マネジメントというのはクリエイティブにとって重要な要素になっていることとは間違いない。特に、アニメのような、クリエイターのコラボレーションにおいてはその傾向があるのかもしれない。

A級のクリエイターのいる組織にはマネジメントがあり、B級クリエイターしかいない組織にはマネジメントはない。そういう時代になっていることを痛感させた1冊。

2009年7月26日 (日)

仕組み作りの本質が分かる

4478009406 ショーエンK「「ぼうず丸もうけ」のカラクリ」、ダイヤモンド社(2009)

お奨め度:★★★★★

大学で経営学を学び、就職後も「隠れボウズ」として会計事務所に勤務し、税理士の資格を取ったという一風変わったお坊さん ショーエンKさんが書いたお坊さんやお寺のビジネスの実態を書いた本。

ぼうず丸もうけとテーマについてマネジメントリテラシーがある著者が書いているだけに、比較的ベールに包まれた宗教ビジネスの暴露を楽しみながら、事業戦略、マーケティング、人事、財務、営業、オペレーションマネジメント、税務などに応用できる、レバレッジの聞く仕組み(カラクリ)が満載。

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卓越したプロフェッショナル論を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月26日】

版元からお送り頂いた本。

大橋禅太郎「行動力・力」、サンクチュアリパプリッシング(2009)

さっと読んだが、刺激的なセンテンス、興味を引かれるセンテンスに出会う度に、おっと思ったり、きょとんとして、とりあえず、次に進んでいるうちに、終わってしまった。

読み終わって印象に残ったのは、リッツカールトンのクレドの個人版「マイ・クレド」とコヴィーの優先順位マトリクスを、大橋禅太郎流に書き直したもの。この2つで、信念を持って、戦略的に行動をせよってこと。

確かにそうだなと思う。きちんと読めたわけではないが、結局、この本の内容はこの大橋禅太郎流に集約されるのだろう。すごい○○も突き詰めればそう言っているわけだし、これが大橋さんの信念ということなのだろう。

もう一冊。こっちは自腹。

ジャグディシュ・シース、アンドリュー・ソーベル(羽物 俊樹訳)「選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること」、英治出版(2009)

ずっと読みたかった本なので、よくぞ、翻訳してくださいました。実は、原書を買っていたのだが、英語が難しくて、断念。日本語の訳を読んでもよく分からないところが結構あったが、とりあえず、最後まで読めて満足。

10年前の本であるが、今、まさにプロフェッショナルに求められている、共感力、コラボレーションなどの重要性を説いていることは先見の明だな。

この本は紹介記事を書きたい。最近、空手形が多くて、あまり、当てにならないけど。

「違いのわかる」ビジネスパースンの時間術

4794217064 長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

お奨め度:★★★★★

時間管理に成果の管理を統合し、具体的な方法論にまで展開した、時間術の本。これまでの時間術本とは一線を画する一冊。

僕は時間術の本は読まない主義であるが、にも関わらず、共感を持って読め、みさなんにお奨めしたい一冊。

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決断力はどのように生まれるのか【ほぼ日読書日記 2009年7月25日】

ノール・ティシーとウォレン・ベニスという、リーダーシップに興味を持つ人なら、ゴールデンコンビの共著。

これは読んで置かなくては思って、課題書を読むような感じで、読み出したが、思いのほか、実践的だった。人事、戦略、危機を決断の3大エリアとして、事例を紹介している。読んで気づいてくれと言う感じの構成。

ノール・ティシー、ウォレン・ベニス(宮本 喜一訳) 「JUDGMENT 決断力の構造―優れたリーダーの思考と行動」、ダイヤモンド社(2009)

ほ~っと思ったのが、最後に100ページ近くのページをさいている「決断力を向上させるためのハンドブック」。

たいへん、実践的だと思う。決断と言うことに関しては、日本人と欧米人でかなり、考え方の違いがあるところだと思っていたが、このハンドブックを眺めてみて、分析的に捉えてしまえば、そんなに違うものではないことがよく分かった。

2009年7月25日 (土)

宋 文洲と藤巻 幸夫の新刊を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月24日】

またまた、ため日記になってしまった。

7月21日に東京に移動。この際に読んだ本。

長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

この本は、次のプレゼントです。事情があって、先に紹介記事をかいているので、そちらを読んでください。

「ちがいのわかる」ビジネスパースンの時間術

もう、一冊。

徳谷 昌勇「監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす」、東洋経済新報社(2009)

この本は、監査役の活動を念頭において、内部統制のリスクマネジメントをとても丁寧に解説してあるので、非常に参考になった。

プロジェクトマネジメントでは、プロアクティブリスクマネジメントが常識であるが、経営組織の内部統制でも、そのような方向に向かっていくことが、明確に分かり、よい本。

東京滞在中は全く本を読まず。24日に京都に戻る新幹線の中で、東京で買った本を2冊読む。

宋 文洲「社員のモチベーションは上げるな!」、幻冬舎(2009)

相変わらずの宋文洲流。

彼のすごいところは、あまり人が言わないような視点から言っていること。この本言っていることはスポンサーシップ論(内発的動機論)である。が、彼独特の視点から書かれているので、たいへん、印象に残る。書籍タイトルも相当なものだが、たとえば、

「ホウレンソウ」の徹底が責任転嫁を生む

という指摘があって、これを下手にやると、責任逃れが蔓延するような組織になってしまうと言っている。こういう現実をみた指摘がやまほどあって、それぞれについて解決策を述べている。それをすべて併せてみると、結局、最近注目さてているスポンサーシップということになる。

もう一冊。こちらも、ファンの多い著者。

藤巻 幸夫「絶対に仕事が楽しくなる ポジティブシンキングの授業 (ビジネスマンの学校)」(2009)

最近、凝っているポジティブ心理学の実践として一つ一つの項目が非常に参考になった。グッドジョブ。最近の何冊かと比べると、この本に書いてあることはその気になれば誰でもできることが多い。それは藤巻さんだからできるんでしょというようなことがあまり書かれていない。

誰でもできるというか、似て非なることをやっているのを、ちょっと気持ちを切り替えてやるといいよって教えてくれる。この辺が、授業なるゆえんだろうか。

2009年7月21日 (火)

新しいコミュニケーションのあり方を学ぶ【ほぼ日読書日記 2009年7月20日】

連休最終日。今日は、セミナーの準備と執筆。夜、1冊、本を読んだ。

清宮 普美代、北川 達夫「対話流―未来を生みだすコミュニケーション」、三省堂(2009)

対話をどう定義するかははっきりしないが、「戦うコミュニケーション」はもう古いという。戦うコミュニケーションというのが何かははっきりしなかったが、その対極にあるのが対話ということだろう。

2人の会話は知的で、刺激的。対話に興味がない人も引き込むようなポテンシャルのものだ。その意味で、すばらしい本。

惜しいなと思うのは、ビジネスと教育という一見違うが、人を育てるということでは同じフィールドで、同じ価値観を持っている人の対談だったこと。

たとえば、ディベート流と対話流が「対話」をして、双方が納得できる答を得るという、企画の本が読みたいなあと思う僕は、対話流ではなく、戦うコミュニケーション流なのかなあ、、、

でも、対話って、弁証法の流儀だし、、、

2009年7月19日 (日)

行動分析学はビジネスに役立つか【ほぼ日読書日記 2009年7月19日】

連休2日目。

今日も朝から夕方まで執筆活動。あまり、はかどらなかったので、夕方から本を読み出した。

舞田 竜宣「社員が惚れる会社のつくり方」、日本実業出版社(2009)

行動分析学を応用したマネジメント。エンゲージメントという概念を提案し、コストをかけないで組織を活性化する方法をかなり体系的に書いてある。できるかどうかは別にして、おもしろいと思った。

ただ、行動分析学の部分で落ちないところが、何カ所かあった。杉山先生や、島宗先生の書かれた行動分析学そのものについて書かれた本を読んでいる分には、興味深く読めるのだが、この本や舞田さんの前作も含めて、最近、よく出版されているビジネスへの応用は、違和感がある部分がある。理屈はわかるのだが、話がきれい過ぎるところに、飲み込みにくさがあるのかもしれない。

あるいは、金井先生が発達心理学を組織論に持ち込まれた初期にも同じような感じを持っていたので、僕がイノベーターではないだけなのかもしれない。

なんか、もやもや感が残ったので、もう一冊、読んだ。

長沢 朋哉「世界一シンプルな戦略の本」、PHP研究所(2009)

ありそうで、なかった本。戦略論を人に教えるときに、どこから行くのかは結構、頭を悩ませるところ。どうしても、ビジョンやミッションから入るが、目的から入る方がすっきりする。いい本。こっちはすっきり!

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