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2007年5月

2007年5月30日 (水)

1+1が10にも100にもなる

4887595476_3 ローレンス・ホルプ(ディスカバリー・クリエイティウブ編)「マジマネ2 伸びるチームをつくる! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントの入門書として定評のある「Managing terms」の翻訳。チームリーダーのミッションを6つにまとめ、それぞれ、簡潔に説明されている。

興味深いのは、この知見は、1989年に米国企業としてははじめてのデミング賞を受賞したフロリダ電力の品質管理プログラムの中で、変化にうまく対応できたリーダーの特性であったということ。

・チームの活動を調整する

・優先順位をつける上でアドバイスを与える

・チームに必要なものを供給する

・問題解決のためのコーチングをする

・実行をサポートする

・公式もしくは非公式に部下の功績を評価する

の6つである。これを中心にチームマネジメントの方法をまとめた本で、各ミッションで3~4個のポイントを挙げている。

気楽に読める割には、結構深いことが書いてある一冊である。

なお、この本は、「マジマネ」シリーズとして刊行されており、第1弾はすでにこのブログで紹介した「できるマネジャーになる!」である。

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2007年5月28日 (月)

PM手法による時間管理

4532111250 佐藤知一「時間管理術」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

プロジェクトマネジメントの手法を使って、時間管理のスキル向上をテーマにした一冊。

この本が面白いのは、成熟度レベルを入れていること。

レベル0:時間の問題を認識する

レベル1:記録する

レベル2:日々の予定を立てる

レベル3:スケジュールを組み立てる

レベル4:進捗を計る

レベル5:分析し、改善する

各レベルに対して、プロジェクトマネジメント手法や、ビジネスマネジメント的なタイムマネジメントの手法を使うことにより、そのレベルの目標を達成し、次のレベルに向かうための方法を説明している。

説明は例を駆使して、分かりやすい。また、全体を通して、若いビジネスマンに、コンサルタントの叔父さんが、いろいろと手ほどきをしているような構成をとっていて、人から教えられているような感覚で読み進めていける。

また、用語はプロジェクトマネジメントやオペレーションズリサーチで使う用語がそのまま使われているので、これらの分野の概念を理解するのにも有益な一冊だ。

この中で、レベル5だけが説明が日常と乖離しているなあと感じた。このテーマそのものがレベル4のような視点から説明するのが難しいのかもしれないが、ちょっと残念。

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2007年5月25日 (金)

ネガティブと戦う

447800109x BJ・ギャラガー、スティーブ・ベンチュラ(梅森 浩一)「ノーの中からイエス!を探せ」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★1/2

「ネガティブと戦う」をテーマにした一冊。

自分も含めて、自分が関わっている人には、ネガティブな人がたくさんいる。このような人の攻略法をストーリーと、解説の二本立てで伝えようとする本。

第1部のストーリーは、「ノーの国」の物語。いろいろなネガティブキャラが登場し、ノーを繰り広げていく。この物語によって、ノーということがどういうことか、ノーという人がどういう思考をするかに気づくようになっている。

その上で、第2部では、ノーをイエスに変える方法を提案している。

このようなスタンスを取れば、きっと自分も、周囲もポジティブになれる。そんなことを感じさせてくれる一冊である。

参考にもなるが、ノーの国で元気をなくしているあなたに元気を与えてくれる。そんなニーズをお持ちの方、読んでみよう!

2007年5月23日 (水)

極めろ上司道!

4887595379 リチャード・テンプラー(米谷敬一訳)「極めろ上司道1 グレイトな上司」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★★

マネジメントの基本を100のルールとして体系的に示している。非常に軽い口調で、抵抗なく受け入れられると思う。新任のマネジャーの座右の書にしてほしい一冊。

Part1はグレイトなチームをつくれ(チーム管理編)。

利益を語るな、貢献を語れ

自分を語るな チームを語らせろ

非現実的な目標から部下を守れ

成功はすべてチームのおかげと主張せよ

など、かなり本質的なことが、並んでいる。いわゆるチームマネジメントの本に書いてある常識とは少し異なる点が興味深い。

Part2はグレイトな上司であり続けろ(自己管理編)

懸命に働け

部下が憧れる手本となれ

仕事を楽しめ

家族を大事に 早く家に帰れ

など、こちらもやはり、一風変わったルールが並んでいる。

ちなみに、このシリーズには3部あるらしいが、すでに第2弾は出ている。

4887595433
ケン・マレル、ミミ・メレディス(ディスカバリー・クリエイティブ訳)「極めろ上司道2 ブライトな上司」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

著者は異なるが、同じようなテーストで、こちらはスポンサーとしての上司がテーマになっている。

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2007年5月19日 (土)

リーダーシップからスポンサーシップへ

4532313260 柴田昌治「なぜ社員はやる気をなくしているのか~働きがいを生むスポンサーシップ」、日本経済新聞社(2007)柴田昌治

お奨め度:★★★★1/2

スコラ・コンサルティング代表の柴田さんが、自らの組織変革のコンサルティングの経験から、経営のスポンサーシップのあり方について述べた一冊。スポンサーシップは分かりにくい概念であるが、この本で提唱されているものは非常に合理的で、また、的を得ていると思う。

この本では(強い)リーダーシップの弊害について指摘し、それに変わるチームをまとめる概念としてスポンサーシップを定義している。最初、読んだときにピンとこなかったが、よく考えてみるとその通りだと思った。この本ではスポンサーシップを

リーダーシップの一種。ただ、引っ張っていくリーダーシップではなく、部下が主役になりうる機会を演出することで「質の高いチームワーク」をつくり出して行くリーダーシップ

と定義している。要するにどうだということはいえないような微妙な話である。捉え方によってはファシリテーションリーダーシップやサーバントリーダーシップと似た概念であるが、似て非なるものである。やはりスポンサーシップである。

具体的なスポンサーシップの機能としては

(1)個人のセーフティネット作り

(2)対話でビジョンを描き、共有する

(3)対話力で一緒に答えを作る

(4)当事者としての姿勢と自己革新

を一緒にあげている。

柴田さんは以前から、プロセス変革、組織変革の中で、スポンサーシップの重要性を説かれていた。

4532192048 柴田昌治「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ」、日本経済新聞社(2003)

この本はここが中心になっている。この本だけ読むと、スポンサーシップで会社が変わるというように読めなくもないが、そういうことではないと思う。ただ、本当にこの部分にフォーカスしないと会社が変わらないということを事例などを通じて切実に伝えてくれる本である。

組織変革に関わっている人はもちろんだが、プロジェクトスポンサーシップを発揮しなくてはならない人はぜひ読んで欲しい。具体的に何をすればよいかが分かるだろう。

2007年5月17日 (木)

CGMは何をどう変えるか?

4839923094 伊藤史「CGM-消費者発信型メディア―Web2.0時代のマーケティング戦略」、毎日コミュニケーションズ(2007)

お奨め度:★★★★

Web2.0がいろいろな変化を期待されている中で、大いに注目されているCGM(Consumer Generated Media)について、体系的にまとめた一冊。非常に分かりやすく書かれている。

まず、第1章で、CGMの定義や最新動向、CGMが発達する要因について述べられている。CGMが何かよく分からない人もこの章を読めば大枠を把握することができる。

2章以下では、CGMが消費者行動を変えつつあることと丹念に述べている。
 ・語り始める
 ・つながりはじめる
 ・能動化する
といった切り口から消費者行動の変化をまとめている。その上で、企業はそれにどのようなマーケティングで対応すればよいかを述べている。

さらに、それを踏まえて、変化に対応するというより、もう少し、プロアクティブな意味で、企業がどのようにCGMを活用していけばよいかをまとめている。

あまり知らなかった分野だが、この本を一冊読んでだいたいのことが分かった。ただ、ひとつだけ残った疑問がある。それは消費者行動が変わるという議論ではなく、消費者という概念そのものはこれからどう変わって行くかという疑問。能動化する消費者のところで少し触れられているが、そもそも、生産者と消費者という区分そのものが意味があるのかという気もしてくる。Web2.0が、単に、google化、amazon化だけではなく、パラダイム変化を引き起こす可能性があるのはこの辺りではないかと思われる。場合によっては、マーケティングの概念そのものを変えるポテンシャルも秘めているのではないかと思う。

そこも含めて、興味深いコンセプトであるCGMを理解するには最適の一冊である。

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2007年5月16日 (水)

社会人のための経営学教科書

4641183481 上林憲雄,奥林康司,團泰雄,開本浩矢,森田雅也,竹林明「経験から学ぶ経営学入門」、有斐閣(2007)

お奨め度:★★★★

大学の先生の書いた経営学の本。失礼な言い方かもしれないが、大学の先生にこんな本がかけるとは思わなかったという一冊。

易しい経営学の本は結構ある。代表格は老舗であり、第3版を重ねているやはりこの本だろう。

453213247909 伊丹敬之、加護野忠男「ゼミナール 経営学入門」、日本経済新聞社(2003)

確かにやさしいし、書籍としても名著だと思うが、基本的には、教科書として学生向けに書かれた本である。MBAコースに行っていたときに、このギャップを感じることが多かった。加護野先生自身はいろいろな経験や知識をお持ちで、講義の中では現実との結び付けをしてくださるのだが、教科書はそうではないので、あまり、読む気にならなかった記憶がある。

その点、上林先生たちが書かれたこの本は、まさに経営の現場で働いている人たちが読める本である。実際に会社で行われていることや、おかれている環境、あるいは、自分たちのやっていることと経営理論をうまく結びつけて書かれている。

従って、経営論が何を意味しているのか、実感として分かる非常に素晴らしい本である。

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2007年5月14日 (月)

現場マネジャーのためのMBA

4757211228 スティーブン・ストラッザー(高橋則明訳)「MBAベイシック・マスター」、アスペクト(2005)

お奨め度:★★★★

実践的でないMBAのテキストというのはないのかもしれないが、非常に現場重視のMBAのテキストである。現場マネジャーにお奨めしたいMBAテキストである。

現場重視だと思う理由はいくつかあるが、まず、人間系から入っていることである。MBAのテキストは戦略マネジメントから入るものが多いが、実際に現場で使うのは人間系の知識だろう。チームビルディング、ネゴシエーション、リーダーシップなどの項目が並んでいる。この並びに、コンプライアンスがきているのも評価できる。

次がアカウンティングとファイナンス。そして、その次に戦略がくる。説明は簡潔で、すっと読める。

最後に、プロセスとシステムのマネジメントが取り上げられている。日本で出版されているMBAのテキストではあまりお目にかからない項目である。ここでは、

プロジェクトマネジメント

品質マネジメント

経営情報システム

などの項目が並んでいる。

現場マネジャーで、見よう見まねでやってきたが、限界を感じている人が多い。MBAコースで体系的にマネジメントを学ぶというが理想だろうが、現場マネジャーは忙しくて、そんな環境にはないという人が多いのも事実。そんな人が、とりあえず、手っ取り早くマネジメントを勉強したいという人にお奨めの一冊である。

そのあと、もう少し、詳しく勉強したければ、こちらがお奨め

現場を動かすマネジャーのノウハウ

https://mat.lekumo.biz/books/2006/04/post_8cab.html

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2007年5月11日 (金)

できるマネジャーを目指す人に!

4887595468 ローレン・ベルカー、ゲイリー・トプチック(ディスカバー・クリエイティブ編)「マジマネ1 できるマネジャーになる! 」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2007)

お奨め度:★★★1/2

新任マネジャー向けのマネジメント入門書。できるマネジャーになるための心構えと行動指針、マネジメントの仕事のポイントについて整理されている。

部下のやる気と強みを育てるという副題があるように、

どうやって部下をやる気にさせるか
プロフェッショナルな部下を育てるにはどうするか
褒め方や注意の仕方で気をつけるべき点は何なのか

といった部下との接し方を中心にした現場マネジメントのノウハウ以外にも、ユーモアとか、身だしなみといったマネジャーとしての振舞い方についても書かれているのが特徴。

このブログでも類書はいろいろと紹介しているが、何か、一冊本を読んで、マネジャーとしてのスタートを切りたいと思っている人にはお奨めしたい一冊である。

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2007年5月 9日 (水)

コミットメントを熟知しよう

4478000999 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編集「コミットメント 熱意とモラールの経営」、ダイヤモンド社(2007)

お奨め度:★★★★

ハーバードビジネスレビューの中から、コミットメント経営に関する論文をまとめた論文集。コミットメントというのは日本語でいえば、公約である。

日本では公約というのがそうであるように、コミットメントというのがどうも、かなり精神的な約束として理解されている気配がある。このため、人によっては、コミットメントを忠誠といった訳しかたをする人もいる。コミットメントとロイヤリティは強い関係があるが、別の概念である(この議論はこの本の8章でも出てくる)。

例えば、プロジェクトマネジメントの分野でコミットメントは計画に基づいて行われる。つまり、定量的な目標に対して、その達成を約束するのがコミットメントの管理である。

ある意味でわかりにくい概念であるが、この本は8つの論文をうまく集めて、コミットメントマネジメントを実行するために必要な要素をつまくつむいでいる。チームマネジメントの中核にコミットメントマネジメントをおきたい人にはお奨めした一冊である。

ハーバードビジネスレビューの論文集なので、決して読みやすい本ではないが、苦労して読めば、それなりの対価は得られるだろう。

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