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2006年12月

2006年12月31日 (日)

プロ論。3

4198622655_01__aa240_sclzzzzzzz_v4847349 B‐ing編集部編集「プロ論。3 」、徳間書店(2006)

お奨め度:★★★1/2

待望のプロ論。の第3巻。

第1巻、第2巻はこちら

相変わらず面白いが、第1巻、第2巻に較べると、著名人というか、メディアによく出ている人が多い。このシリーズも有名になって、そのような人たちが取材を受けてくれるようになってきたということだろう。喜ばしいことだ。

今回は以下の50名。

出井伸之氏、尾関茂雄氏、北尾吉孝氏、熊谷正寿氏、宋文洲氏、中谷巌氏、野尻佳孝氏、橋本真由美氏、林文子氏、藤田晋氏、池上彰氏、岩井志麻子氏、岩崎究香(峰子)氏、押井守氏、江上剛氏、楳図かずお氏、小山薫堂氏、榊原英資氏、北村晴男氏、金美齢氏、金田一秀穂氏、しりあがり寿氏、辛酸なめ子氏、鈴木敏夫氏、高田文夫氏、陳建一氏、筒井康隆氏、戸田奈津子氏、長嶋有氏、名越康文氏、藤沢久美氏、藤巻健史氏、三池崇史氏、溝口肇氏、村上隆氏、茂木健一郎氏、山田真哉氏、池畑慎之介氏、市川春猿氏、今井雅之氏、片桐はいり氏、勝俣州和氏、島田洋七氏、高嶋ちさ子氏、高田純次氏、高見映氏、南部虎弾氏、岩村明憲氏、小宮山悟氏、為末大氏

ちなみに、今回僕が一番気に入ったプロの哲学は、ソニーCSLの茂木健一郎氏の

 不確実性を楽しめれば、個人の価値は向上する

である。

2006年12月29日 (金)

人脈≠知り合い

4757304226_01__aa240_sclzzzzzzz_v3436483藤巻幸夫「人脈の教科書~図解フジマキ流シビれる人生をつくる」、インデックス・コミュニケーションズ(2007)

お奨め度:★★★1/2

テーマのせいか、前作の「チームリーダーの教科書」ほど、インパクトは感じなかったが、でも、引き込まれるように読んだ。

ほしい人脈を手に入れる方法、人脈の作れるひとになる方法、社内人脈を作る方法、仕事以外の人脈作りなど、人脈に関して藤巻さんが持っている考えをすべて披露したような一冊である。実は、人脈というのは雑読派の僕としては珍しくまったく興味のないジャンルである。実際に立ち読みはしても、本を買ったのはこれが初めて。なぜかというと、第一は藤巻さんの本だからだが、第二の理由は極めて論理的、合理的にまとめてあるからだ。

この本で藤巻さんが言っていることは、「人脈はできるものではなく、作るもの」だということ。そのためには、まず、自分。人脈に恵まれる人のタイプとして

・オリジナリティのある人

・単独で行動できる人

・フットワークの軽い人

・計算より「志」の実現を見据えている人

・志のある人

の5つが上げられている。僕は人脈は恵まれているほうだと思うが、この5つはクリアしていると自負しているので、納得。

よくコミュニティや交流会で知り合いはできるのだが、サラリーマンなのであまり役立たないという人がいる。そんな人は、人脈が何かということを理解できていないと思うので、ぜひ、この本を読んで勉強をしてください!

また、人脈化される場合にもこの本に書かれているようなアプローチをされるとうれしいな!

マーケターの日常

4820744062_01__aa240_sclzzzzzzz_v4840508 末吉孝生「マーケターの仕事術〔入門編〕」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

お奨め度:★★★★

マーケターの書いたマーケターのコンピテンシー。 

マーケターの業務シーンを想定し、それぞれのシーンで役立つ道具を「キット」としてまとめている。うまく構造化されているので、実践的である。

キットには

「チャート」:全体図

「ノウハウ」:実務上のノウハウ(手順、詳細)

「ステップアップ」:事例とトレンド

「ブック」:関連する書籍、資料

という4つの要素から構成されている。

シーンはマーケティングプロセスに沿って25準備されている(目次参照)。

解説スタイルは基本的なことをエッジを効かせて書いてある。なので読んでいて面白い。

また、この手のコンピテンシー本にありがちな、コンピテンシーの羅列という感じがない。一つ一つの道具に存在理由があることを意識し、その理由を一言かきくわえてあるかだらと思う。

たぶん、これが、マーケター末吉孝生の流儀なのだろう。

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2006年12月28日 (木)

MS Projectを使ったダイナミックなプロジェクトマネジメント

4885387116_01__aa240_sclzzzzzzz_v3515413 Eric Uyttewaal「ダイナミックスケジューリング」、テクノ(2006)

お奨め度:★★★1/2

マイクロソフトのPMツール Office Project をPMBOKの考え方で実施するプロジェクトマネジメントの中で如何に使えばよいか、如何に使えるかを詳細に解説した一冊。タイトルからも分かるように、シミュレーション型のプロジェクトマネジメントを提案している。

Projectの解説としては、単にツールの使い方に留まらず、ツールを使ったプロジェクトの計画方法、コントロール方法が実際のツールの画面のキャプチャーを使いながら、丁寧に説明されているので、非常に有益な一冊である。特に、Projectを導入したものの、使いあぐねている人や組織にはぜひお奨めしたい。

ただ、PMBOKそのものが明確なマネジメントのモデルを提示しているわけではないし、シミュレーション型のプロジェクトマネジメントの全貌がよく分からない。そのため、ツールの枠組みでPMBOKを説明した本になっている感があるのは否めない。おそらく、PMPである著者の頭の中には、PMBOKに準拠したマネジメントモデルがあり、それに従って書かれていると思うのだが、それが書かれていないので、よく分からない。その点で、Projectの詳細な解説書の域を出ていないようにも思える。

とにかく、読んでやってみる価値はある。

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2006年12月18日 (月)

リスペクトすることについて考えてみよう

4880862061_01__aa240_sclzzzzzzz_v3496859 デヴィット・シーベリー(菅原明子訳)「リスペクト!自分も他人も大切にする生き方24話」、成甲書房(2006)

お奨め度:★★★★

心理学博士である著者が説く、「存在の基本原則」と「人間関係の魔法の公式」。1937年に米国で出版されて以来、200万人の人に読まれている人間関係のバイブル。

多様性が重視されている中で、リスペクトすることはどんどん重要性を増しているが、特に、戦後の画一的教育を受けてきた中では、なかなか、理解しにくい概念でもある。実際に相手を否定しないとかいったことが抑制的に行うことはできても、本当に相手を大切にすることは難しい。

そんな人に、取って置きのヒントを24のストーリーに載せて教えてくれる一冊。

この本の教えてくれること

・トラブルに対処する7つのルール

・7つのステップからなる思考手順

・避けるべき12の過ち

・確実に失敗する65のやり方

・トラブルを扱う10の方法

・危機的状況に対処するための4つのルール

・失敗の12の原因

・間違った7つの前提

・問題を起こす12の考え方

・厄介なトラブルに対する12の心得

・すでに手遅れだったときの10の対処法

・やり抜くための8つの方法

・問題解決のための5つの秘訣

2006年12月15日 (金)

プロフェッショナルの具体的イメージ

4480063331_01__aa240_sclzzzzzzz_v3576063 波頭亮「プロフェッショナル原論」、筑摩書房(2006)

お奨め度:★★★★

ありそうでなかった本。プロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルであるためには何を守らなくてはならないか、プロフェッショナルであるためにはどのような日常を送らなければならないかなどをまとめた1冊。まさに、原論である。

この手の本は、結構、持論に走り勝ちであるが、著者はコンサルタントだけあって、自分のフレームを作り、そこに、世の中にあるいろいろな認識を自分の言葉でうまく整理して、決して独断だけではないプロフェッショナル論を展開している。

著者の述べるプロフェッショナルの3つの要件は

1)プロフェッショナルは極めて高度な知識や技術に基づいた職能を有していなければばらない(職能に関する規定)

2)プロフェッショナルの仕事は特定のクライアントからの特定の依頼事項を解決してあげるという形態をとる(仕事の形式に対する規定)

3)プロフェッショナルはインディペンデント、すなわち職業人としての独立した身分である(身分に関する規定)

の3つである。

そして、仕事のルールとして

(1)営業のルール

・営業をしない

(2)報酬のルール

・パーディアム×必要日数で報酬を設定

・値引きをしない

・成功報酬をしない

を上げている。

これからプロフェッショナルを目指す人はもちろんだが、プロフェッショナルを名乗っている人もぜひ、一度、目を通してほしい一冊である。

2006年12月12日 (火)

強い個をベースとしたリーダー論

4569656420_01__aa240_sclzzzzzzz_v3649460平尾誠二「人は誰もがリーダーである」、PHP研究所(2006)

お奨め度:★★★★

ミスターラグビー平尾誠二氏のリーダー論。

平尾流のリーダー論は、まず、「強い個」がベースになる。そのために、この本では、如何に自身を強くするは、また、指導者は如何に個を育成するかを議論している。

その上で、その強い個の上に立つリーダー像のキーワードとして、キャパシティというキーワードを使って議論している。キャパシティは、異質のもの、いびつなもの、対立するものを排除せずに、受け入れることだ。別の言葉でいえば、ダイバーシティである。

また、チーム論も展開している。平尾氏のチーム論はなかなか面白く、パズルではなく、積み木型のチームを創れと説いている。パズルはいうまでもなく、ぴったりとはまり、力を発揮するようなチームのイメージであるが、積み木型はでこぼこがあってもかまわない。30点のところもあれば、90点のところもあるが、全体として高くなる。そんなチームを創れと説いている。一種のコンペイトウ論である。バランスや効率は悪いが、その反面、予想しないような高い創造性を発揮する可能性もある。

基本的に平尾氏の発想は強い個、言い換えるとプロフェッショナルをベースにした議論である。その意味で人は誰もがリーダーである。ある意味で変わった理論であるが、少なくとも、大学選手権で3連覇を遂げた同志社の1年目のチーム、7連覇を遂げた神戸製鋼チームはそのようなチームだったと思う。その意味で、実践された論理でもある。

非常に興味深い。

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2006年12月 9日 (土)

マネジャーへの刺激のシャワー

4756910300_01__aa240_sclzzzzzzz_v3371458 嶋津 良智「あたりまえだけどなかなかできない 上司のルール」、明日香出版社(2006)

お奨め度:★★★★

このブログでは、このシリーズの本は過去に何冊か紹介している。

あたりまえだけどなかなかできない 説明のルール

あまりまえだけどなかなかできない 仕事のルール

あたりまえだけどなかなかわからない 組織のルール

あまりまえだけどなかなかできない 会議のルール

これらの本のよさは、半分くらいは、当然だと思うような項目(どんな類書を読んでも書いてあるようなこと)が挙げられているが、残りの半分くらいは非常に尖がった指摘がされていることだ。これが非常に役立つ。中には読んだ瞬間に「はっ!」とすることもあれば、「えっ?」と思うようなことも混じっている。ただし、書かれていることは、やってできないことではない。

この本はこの意外性の割合が非常に高い。例えば、

・究極の仕事は自分の仕事を無くすこと

・判断に迷ったら部下に聞け

・切り離すな、優先順位と時間管理

・心の中に第三者の目を持て

・真実の15秒(エレベータテストステートメント)

・マネジメントは不公平でいい

といったことが連なっている。非常によいことが書いてあるのだが、シリーズの他の本で書かれていることに較べると、実行が難しいことが多い。これは本質的に上司の仕事とというのは難しいことが多いからかもしれないし、ひょっとすると、難しいことが結構、並べて書かれているからかもしれない。

という意味で、シリーズの中ではちょっと変わった一冊だと思うが、間違いなく言えることは、「とてつもない刺激を受ける」ということだ。この点は保証する。また、時々、読んで、長時間かけて自分の成熟度の向上に取り組んでいくには、非常によい視点がたくさんある。この点も保証できる。

2006年12月 5日 (火)

あいまい性を許容する

4798111430_01__aa240_sclzzzzzzz_v5265845名内泰藏「曖昧性との共存」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

名内氏は日立で国鉄の座席予約システム「マルス」の中心的役割を果たしたエンジニアの一人である。その体験に基づいたプロジェクトマネジメント論は、ベストセラーになった前作

4798109053_01__aa240_sclzzzzzzz_名内泰蔵「曖昧性とのたたかい―体験的プロジェクトマネジメント論」、翔泳社(2005)

で詳しく書かれている。この本は、その経験を抽象化し、17の経験則にまとめている。

2冊ともあいまい性への対処を書かれているが、PMBOK的なリスクマネジメントと若干違うのは、あいまい性をマネジメントしているということ。例えば、曖昧性との戦いの中で、システムの重要部分をキャリアの浅いエンジニアに任せるという話がでてくる。管理的な視点でみれば、スキルあった部分を担当させるというのが正道なので、こんなことは危なくてやっていられない。しかし、マネジメント的な視点からみれば、目立つので悪いことが早く見つかるので、そうすべきだというのが著者のロジックである。

こういうロジックが作られる背景には、いくらあがいてもプロジェクトには曖昧性がある。曖昧性と喧嘩をするのではなく、如何に曖昧性とうまく付き合えるかが問題

というような著者の独特の視座がある。

以前、ある研究所で同じくマルスの中心人物の一人で、後に京都大学でアカデミックキャリアを歩み、日本の情報処理教育の基礎を気づかれた大野豊先生に指導された経験がある。大野先生もこのようなスタンスだった。ソフトウエアエンジニアリングやプロジェクトマネジメントが進んできたのはよいことだが、一方で、曖昧性に勝てる(無くすことができる)という錯覚が生じているのではないかと思う。そして、その錯覚がプロジェクトの躓きの原因になっているプロジェクトは決して少なくない。

著者は、ユーザー企業とITベンダー、競合ベンダーの間で曖昧さが混入する構図を「曖昧の三角関係」と呼んでいる。いくら、エンジニアリングやプロジェクトマネジメント、マーケティングマネジメントが進んで行こうとおそらくこの曖昧性がなくなることはないだろう。

その意味で、そのような思いを持つプロジェクトマネジャーは「視座」を変える必要がある。そのために、IT系に限らず、読んでほしい一冊である。前作と較べると、ITに限定しない書き方がされているので、ITの専門でなくて、十分読める本に仕上がっている。

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2006年12月 4日 (月)

待望のプロダクトマネジメントハンドブック

4798111929_01__aa240_sclzzzzzzz_v3663775 Linda Gorchels(新井宏征訳)「プロダクトマネジャーの教科書」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

欧米では定番のプロダクトマネジメント本の一冊。プロダクトマネジメントの仕事を「プロダクトマネジャーのハンドブック」という切り口で整理している。

プロダクトマネジメントは、日本ではあまり、なじみのない概念であるが、製品カテゴリーの展開に責任を持ち、また、同時に個別の製品開発プロジェクトにプロジェクトスポンサーとして関わるマネジャーである。製品カテゴリーをプログラムだと捉えれば、プログラムマネジャーである。

この範囲で必要な知識は極めて膨大である。この本はそれを網羅しているので、さしむき、「ポーフォリオ」的な意味合いの強い一冊である。

第1部は戦略計画について述べている。第1章の戦略立案フレームワークから始まり、市場調査、競合分析、ブランド戦略、コスト戦略などについて書かれている。第2部は製品計画と戦略実行で、戦略的成長、新製品開発プロジェクト、市場投入戦略、製品管理、顧客管理について書かれている(詳細は目次参照)

第3部は多少趣が変わり、プロダクトマネジャーのリーダーシップについて書かれている。

本の構成として、すべての項目について簡単なチェックリストでプロダクトマネジャーとしての仕事がチェックできるようなつくりになっている。また、章末に14人のプロダクトマネジャーへのインタビューが採録されている。このインタビューを読むことによって、スキルポートフォリオのイメージが明確になるだろう。その意味でとても重要な要素になっている。いずれにしてもハンドブックとしてはよくできているし、プロダクトマネジメントが何かを知らない人が読んでイメージを作る、あるいは、プロダクトマネジメントの実務に関わっている人が自分の行っている仕事を体系的に整理するにはもってこいの一冊である。

一方で、あくまでもハンドブックであるので、この本1冊でプロダクトマネジメントに必要な知識のすべてが身につくと考えるのは早計。この本に書かれている活動をしようと思えば、多くのスキルを必要とする。戦略理論、マーケティング、プロジェクトマネジメント、ブランドマネジメントなどだ。ちょうどプロジェクトマネジメントのPMBOKのようなイメージで読むのがよいだろう。

実際にこの本の書かれているような仕事のやり方を手っ取り早く身に付けたいという方には、同じ著者の

0071410597_01__bo2204203200_pisitbdp500aThe Product Manager's Field Guide: Practical Tools, Exercises, and Resources for Improved Product Management

がお奨めだ。ただし、英語。この本も翻訳してほしいなあ~。

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