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2006年7月26日 (水)

意思決定はプロセスである

490123494301 マイケル・A・ロベルト(スカイライトコンサルティング訳)「決断の本質 プロセス志向の意思決定マネジメント」、英治出版(2006)

お奨め度:★★★★1/2

英治出版のウォートンビジネススクールのシリーズ。このシリーズ、たぶん、5タイトルくらいは出ていると思う。出版されたものには、だいたい目を通しているが、一冊だけいい本だなあと思ってこのブログで紹介したことがある。

□デビッド・シロタ(スカイライトコンサルティング訳)「熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素

この本より、本書の方がよりすぐれものだとと思う。

メインテーマは「意思決定の成否はどんな結論を出したかではなく、どんなプロセスで結論に至ったかで決まる」ということ。このテーマを中心に、では、どのようにプロセスをくみ上げていくか、また、そのプロセスを前提にした場合にリーダーシップはどうあるべきかという感じで、体系的にまとめられている。

本書で掲げているテーマは、仮説に過ぎないと思う。ケネディ大統領の失敗やスペースシャトルの事故、エベレスト登山隊の遭難、ノルマンディー上陸作戦などを取り上げて、仮説の妥当性を主張しているが、逆にこれらの仮説を否定する事例もたくさんあると思う。

しかし、それが仮説かどうかはどうでもよくて、この本に書かれているような意思決定プロセスを構成していくことはビジネスの中では極めて重要なことだと思う。プロセス構成の考え方にも、納得できる部分が多い。

特に8章の実行につながる決断の章は、今までの意思決定論ではあまり省みられることのなかった視点で、ここだけでも読む価値がある。

とにかく、よい本であるので、マネジャーの方は、ぜひ、手に取ってみてほしいと思う。

目次

(第1部 意思決定プロセスを導く)
第1章 リーダーシップへの挑戦
・助言はあまねく、命令は一つ
・意思決定の神話
・現実を直視せよ
・反対意見はあるか?
・エベレストの悲劇
・認知的対立と感情的対立
・なぜ難しいのか
・大いなる挑戦

第2章 決定する方法を決定する
・ケネディの反省
・意思決定プロセスの「4C」
・内容よりもプロセスを問う
・心の準備

(第2部 意見の対立を促す)
第3章 硬い壁と柔らかい壁
・コロンビア号の最後の飛行
・率直な対話を妨げる壁
・求めなければ得られない

第4章 アイデアの衝突を促す
・コーフィールドの成功
・4Cを駆使する
・アイデアの衝突を促す四つの手法
・陥りやすい落とし穴
・卓越は習慣の中に宿る

第5章 対立を建設的に解決する
・対立の状態を診断する
・感情的対立を抑制する
・組織としての能力を磨く

(第3部 コンセンサスを形成する)
第6章 優柔不断の力学
・優柔不断の文化
・本質的解決に近道はない
・組織の不文律に挑む

第7章 正しいプロセスを追求する
・公正なプロセス
・妥当性のあるプロセス
・意識の乖離をチェックする
・優れたプロセスを浸透させる
・対立とコンセンサスは矛盾しない

第8章 実行につながる決断
・アイゼンハワーの手腕
・発散と収束を繰り返す
・「小さな成功」の心理学
・中間合意を形成する
・検討から決断へ
・決断の後
・最大の武器は信頼である

(第4部 新たなリーダーの条件)
第9章 自制心をもって導く
・いま求められるリーダー
・孤独な戦士という神話
・解決策か、プロセスか
・自制心をもって導く
・重要なのは答えではなく、質問である

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