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2006年4月

2006年4月28日 (金)

あなたをダメにする無意識の習慣

447836089801lzzzzzzz マーク・エプラー(ルディー和子訳)「その無意識の習慣が部下とあなたをダメにする」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

すばらしい!

57の失敗に加えて、「失敗を勝利に変える」方法を提案している。

失敗3:リーダーシップの重要要素は権力ではなくて影響力であることに気がつかない(「リーダーシップ」より)

失敗5:聞くことはもっとも説得力のある行為だということに気がつかない(「コミュニケーション」より)

失敗13:モチベーションは心の内部的欲求であり、他人がどうにかできるものではないことを理解しない(「モチベーション」より)

失敗14:社員からの意見を聞かずに、社員の仕事に影響を与える変更を決める(「変化の時代のマネジメント」より)

失敗22:自分を大切にしない(「自己啓発」より)

失敗28:必要なときにリスクを冒さない(「問題解決」より)

失敗32:「ハッスル」が有効な戦略だと理解しない(「顧客サービス」より)

失敗34:管理と自尊心や生産性の関係を理解しない(「結果を出す」より)

失敗39:すべてのマネジャーは成長を目指すリーダーであるべきなのに、それを理解していない(「ゼネラルマネジメント」より)

失敗44:やり甲斐のある目標を立てない(「計画を立てる」より)

失敗51:仕事へのプライドを育成しない(「企業文化」より)

失敗53:真の勝利をもたらす強みは製品を創造することではなく価値を創造するところからくることを理解していない(「基本的なこと」)

最後に、「重要なこと」として重大な失敗を上げている。それについては、本を読んでみてほしい。

思い込みから抜け出そう

490324112201lzzzzzzz マリヨン・ロバートソン「なぜ「思い込み」から抜け出せないのか」、ファーストプレス(2006)

お奨め度:★★★★

日本人のビジネスの特性に言及し、「なぜ、アメリカ式の価値観の組織行動ができないか」についてエッセイ風に書いた本。

・スピードとリズム

・個とチーム(組織)

・コミュニケーションとリーダーシップ

の3つの視点から、それぞれ20程度の分析をしている。たとえば、スピードとリズムであれば

・どこかに所属していないと不安な日本人

・なぜ「セクシー」なチーム作りができないのか?

・大阪人のせっかち気質は国際ビジネスのテンポにあっている

といった感じ。個とチームでは

・内外の区別はあっても公私の区別があいまいな日本人

・テリトリアルで共同作業が苦手な日本企業

・日本の企業には本当に和があるのか

というような興味深いテーマが並んでいる。非常に深い話が気軽に読める。よい本である。

ちなみに、この本を読んでいると、なぜ、日本にはプロジェクトマネジメントが普及しにくいかがよく分かる。そんな読み方もあるだろう。

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現場を動かすマネジャーのノウハウ

475721227501lzzzzzzz デューク・コーポレート・エデュケーション(嶋田水子訳)「現場を動かすマネージャーのための『人を活用する技術』」、アスペクト(2006)

お奨め度:★★★★

MBA教育で有名なデューク・コーポレート・エデュケーションが作った戦略マネジメントの実践書シリーズ。この本は、「人間関係」に注目して、プロジェクトを如何に動かすかというテーマで書かれている。プロジェクトマネジメントは人のマネジメントであるとはよく言われるが、この本を読んでいるとまさにそれを実感できる。

ネットワーク地図としてステークホルダ分析をし、ステーク彫るだの関係マネジメントをしていることによってプロジェクトを進めていくための指南書となっている。章ごとにチェックリストもあり、自分がどれだけ実践できているかを確認しならが読み進めていける。

475721228301lzzzzzzz 併せて読んでほしいのが同じシリーズのこの本。

デューク・コーポレート・エデュケーション(嶋田水子訳)「現場を動かすマネージャーのための『強いチームをつくる技術』」、アスペクト(2006)

「チームの目的意識が低く、結果を達成できない」「チームの仕事量が多くて、部下がこなせない」「各メンバーがバラバラで、チームである意味がない」といったチームパフォーマンスの問題に対して、チーム内の整備、環境の整備などの視点から解決策を与えている。

チームマネジャーの必読書。

もう一冊ある。

475721226701lzzzzzzz デューク・コーポレート・エデュケーション(嶋田水子訳)「現場を動かすマネージャーのための『戦略を実行する技術』」、アスペクト(2006)

たぶん、この本が本丸だと思うが、この本は計画を実行する技術と置き換えてもよいだろう。「トップが考えた戦略に部下が反発して、動いてくれない」「仕事が多すぎて、何から手をつけていいのかわからない」「現場の声がトップに届かず、戦略にも反映されない」といった問題に対する解決策が提言されている。

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物語をビジネスで使う

483792179501lzzzzzzz 平野日出木「「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法」、三笠書房(2006)

お奨め度:★★★★

物語の重要性というのは、認識されているし、事例という点ではその有効性を示す事例は枚挙に暇がないといってもよいだろう。

ただ、体系的な実践となると、たとえば、松岡正剛氏が京都の文化を物語で後世に伝えていくといった試みをされていたり、神戸大学の金井先生がマネジメントにおける語り部の役割と重要性を整理されているような事例はあるものの、なかなか、一般的なビジネスパーソンが使えるようなレベルのものはなかった。

その意味でこの本は画期的。物語の作り方を体系的に示している。その手順に従えば誰にでも物語が書けるとは言わないが、物語というキーワードだけで独自の発想でやることに較べると格段に品質の異なる物語が作れることは確かだ。

重要性などについて書いている部分はそんなに目新しさはないが、トータルでは画期的な一冊だと思うし、読んでいくうちに、自分もビジネスの中で使えるのではないかという気になる本である。

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2006年4月25日 (火)

風が吹けば桶屋が儲かる...か?

402250084001lzzzzzzz ロバート・グーラ(山形浩生訳)「論理で人をだます法」、朝日新聞社(2006)

お奨め度:★★★1/2

過激なタイトルがつけられているが、交渉術の本だと考えてよい。

日本では、「風が吹けば桶屋が儲かる」という論理があるが、この手の論理を集めた本。読んでいて大変面白い。山形浩生氏による翻訳というのもいい。非常に日本語がウィットに富んでいる。

この本の主張は「論理的な正しさ」と「内容の正しさ」は違うということ。政治家、セールスマン、コンサルタント、宗教家などの腕はこの差で決まるという。確かにそうである。他の商売はよくわからないが、コンサルタントは、論理的な正しさが必須で、ある意味でこの本に書いてあるように論理を悪用しないと成功しない。

目からうろこの一冊。

コミュニケーションマネジメントの本

475690957401lzzzzzzz 鶴野充茂「あたりまえだけどなかなかできない説明のルール」、明日香出版社(2006)

お奨め度:★★★★

かなりディープなコミュニケーションの本。準備で8割が決まるといっているように、コミュニケーションの技術そのものよりは、コミュニケーションマネジメントのノウハウに重点が置かれている。

・説明する前にシナリオを準備しよう

・説明する前に相手の答えを予想しよう

・ひとつのことをさまざまな視点で見よう

・聞かれる以上の情報を用意しておこう

・説明の「種類」をはっきりさせよう

・本当に目の前にいる人は説明すべき人なのかを考えよう

・会う前に電話かメールで概要を伝えよう

といったルールが101並んでいる。プロジェクトマネジャー必見の一冊。

このシリーズ、ブログでも「あたりまえだけどなかなかわからない組織のルール」を取り上げているが、人気シリーズになってきて、内容も充実してきた感がある。この本のようにあまり世の中にない視点でまとめた本をもっと出してほしい。

現場リーダーの技術

479733350201lzzzzzzz 岡島幸男「プロジェクトを成功させる 現場リーダーの「技術」」、ソフトバンククリエイティブ(2006)

お奨め度:★★★★

最近、アジャイル開発を中心に注目されているプロジェクトファシリテーション、見える化の技術の集大成。

アクションかんばん、キャラクターマップ、3Pフレームワーク、議事録ドリブン会議、朝会、KRT、タイムライン

ソフトウエア開発の現場で使われているツールであるが、体系的に整理し、行動モデルの中で位置づけているので、やり方だけではなく、意義がよく分かる。

プロジェクトファシリテーションという考え方は地に足がついていないと成立しない方法であるが、いいとこどりをして、少しずつ、定着させていくガイドブックとしては最適の一冊である。

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2006年4月24日 (月)

知識とスキルを結果につなげる

456964896701lzzzzzzz 御立尚資「使う力~知識とスキルを結果につなげる」、PHPビジネス新書(2006)

お奨め度:★★★★

時勢にフィットした本。エンプロイヤビリティ、目標管理など、さまざまな形で学習を促されているが、その成果はとなると?である。コンサルティングをして感じるのは、確かに知識は増えているし、スキルも向上している。議論はできるし、分析などのワークもできる。しかし、結論したことが実行できない。つまり、使えない。

この本はこの問題を取り扱った本である。著者の御立尚資氏はボストンコンサルティンググループ日本の代表である。実はコンサルティング力というのは、彼のいう「使う力」である。コンサルティングが自分の経験のないことにもある程度対応できるのは、論理思考力だとか、問題発見力だとかいろいろな要素があるが、もっとも重要なのは知識の体系付けを行う能力である。体系化できることは使うことができることに他ならない。

この本にオビにあるように、もう勉強は十分、そろそろ結果を出したいという人は、一読の価値のある一冊である。

と同時に、これから勉強をしようという人も、読めば、勉強の効率がよくなること間違いなしの一冊である。

2006年4月15日 (土)

行動に注目したリーダーシップ

447872026601lzzzzzzz_2 グロービス・マネジメント・インスティテュート「MBAリーダーシップ」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

ついに出たという感じの一冊。

グロービスのMBAシリーズは経営戦略とか、アカウンティングだけではなく、クリティカルシンキングだとか、オペレーション戦略だとか、結構、マニアックなテーマもあるのに、なぜ、今まで、リーダーシップがなかったのか不思議。

内容はよい。リーダーシップ行動(コンピテンシー)に焦点を当てているので、具体的で分かりやすく、実践的である。

まず、序章では、ショートケースを使ってリーダーシップ行動のイメージ作りをしている。ここで使われているケースは

・家電メーカマーケティング室製品開発プロジェクトチームの導入

・ミドルマネジャーの悩み

・F工場技術伝承プロジェクト

の3つで、いずれも「よくある話」である。ケースはこの章に限らず、すべての章で要点でケースによる説明が行われている。

第1章はリーダーシップの行動モデルを網羅的に説明している。一つ例を挙げると、エンパワーメント型のリーダーシップについて

1)目標の共有

2)自由度の実現

3)支援体制の実現

ということで、それぞれの方法をかなり具体的に示している。

さらに2章、3章では、リーダーシップ行動をとるために必要な技術を解説している。2章は、変革リーダーシップ、3章は条件適合リーダーシップという分類でまとめている。

内容自体は結構難しいし、行動説明をしている部分にしても、非常に難しいなあと思われるものがあり、それを実行するためのツールにしてもそんなに簡単に活用できるものではないものが結構多い。

しかし、今までにあるリーダーシップ本と較べると格段に実践的であり、また、コンピテンシーだけでリーダーシップの説明をした本に較べると、理論的な側面も書いてあり、MBAを目指すようなレベルの人にとっては非常に役立つと思う。そんな意味で、決定版かなと思わせる1冊である。

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2006年4月10日 (月)

PMを推進するための必読書

488538708609lzzzzzzz ジョリオン・ハローズ「プロジェクトマネジメント・オフィス・ツールキット」、テクノ(2005)

お奨め度:★★★1/2

日本語で読める貴重なプロジェクトマネジメントオフィスの本であるが、事例やツールが豊富に掲載されており、また、CD-ROMでもデータが提供されているので、実用的な書籍である。

スタンスとしては、プロジェクトマネジメントがあまり行われていない企業、あるいは、組織的にプロジェクトマネジメントを行っていない企業において、プロジェクトマネジメントオフィスを設立することによって、プロジェクトマネジメントを普及させていこうというスタンスで書かれている。

このために、まず、PMOの設置の手順を説明し、さらに、プロジェクトマネジメントオフィスのサービスをしていく上で必要な各種のツールを提供している。また、メトリクスや、制度についても、かなり踏み込んで提供されている。

したがって、これからプロジェクトマネジメントオフィスの立ち上げをする人はもちろんだが、プロジェクトマネジメントオフィスのメンバーにとっても一読の価値のある内容になっている。

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