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2006年1月

2006年1月30日 (月)

リーダーがいつも考えていること

453231263901lzzzzzzz マーカス・バッキンガム(加賀山卓朗訳)「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

著者のマーカス・バッキンガムは80万部以上のベストセラーになった

マーカス・バッキンガム、カート・コフマン(宮本喜一訳)「まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーはここが違う」、日本経済新聞社(2000)

の著者である。

453214867709lzzzzzzz_1 この本では、著者が世論調査で有名なアメリカの調査機関ギャラップで17年間に行った、8万人のマネジャーと100万人の従業員に行ったインタビュー調査をもとに、すぐれたマネジャーは何をし、何をしないのかを解明している。

   調査は、まず「すぐれたマネジャー」かどうかを見極めるため、各職場の従業員に一連の質問を投げかける。質問は調査の過程で抽出した12の項目からなり、従業員が最高のパフォーマンスを発揮し、高い生産性を上げているかを問っている。

しかし、12項目にはマネジャーが一見、矛盾する責任をまっとうしなければならないものが含まれている。すべてに高得点を出すのは、常識では不可能になるという非常にユニークなものである。マーカス・バッキンガムはこれから、すぐれたマネジャーは常識では考えられないアプローチをとっていることを結論している。

この本は、この調査を踏まえて、独特のマネジャー論を展開している。タイトルにあるたったひとつ考えていることとは

バランスをとろうとするな、アンバランスをめざせ!

ということで、これは、前作の主張にも通じている。

この本を通じて主張されていることは、すぐれたマネジャーは

・部下一人ひとりの個性に注目する

・部下たちに共通の不安に注目する

・何をしないかに注目する

という3つである。

ちなみに、「まず、ルールを破れ」と同じ調査でもう一冊の本を書いている。それは、

453214947909lzzzzzzz マーカス・バッキンガム、ドナルド・クリフトン(田口俊樹訳)「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす」、日本経済新聞社(2001)

で、併せて読んでみることをお奨めする。

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2006年1月29日 (日)

何だ?この会社

477940018x01lzzzzzzz_1 株式会社ライブドア「livedoor?何だ?この会社」、ライブドアパブリッシング(2005)

お奨め度:★★★★

いろいろと意見のある本だと思うが、一級のエスノグラフィー。

ライブドアの組織文化を書いた本。組織論のグルである、エドガー・シャインの説によると、組織文化には、シンボル、価値観、基本的仮定の3つのレベルがあるそうだ。

456123393809lzzzzzzz エドガー・シャイン(金井寿宏、片山佳代子、尾川丈一訳)「企業文化―生き残りの指針」、白桃書房(2004)

このライブドア本に書かれている主要なライブドアのフューチャーをこの区分に分けてみると

「即決・即断」:「検討します」はタブー(価値観)

「固定費削減」:机も椅子もただでもらう(シンボル)

「メールは1日5000通」:仕事はメールに集約する(基本的仮定)

「人材活用」:”伸びしろ”のある人間の付加を徹底的に高める(価値観)

「下克上人事」:年齢・経歴関係なし、稼ぐ人間がトップをとる(シンボル)

「3ヶ月査定」:3ヶ月ごとの成果に応じて、給料も激増・激減(シンボル)

「社長で稼ぐ」:社長をタダでは遊ばせない(価値観)

「福利厚生の充実」:最高7万円まで!半額支給の住宅補助(シンボル)

「ホリエモン」:売れている名前はとことん使う(基本的仮定)

といった感じになると思う。これを見ても、若い会社であることがわかる。ただ、これからの会社に必要な文化を構築しようとしていることは間違いない。

その意味で、エスノグラフィーの素材が面白く、非常に価値のある本である。

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2006年1月27日 (金)

はぐらかしの達人になろう

453231259001lzzzzzzz 梅森 浩一「「はぐらかし」の技術」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

小泉首相の答弁を見ていて、不思議なのは、明からの話をはぐらかしているのだが、後味が悪くないことだ。これがはぐらかしの天才といわれる所以だろう。

ところが一方で、誰とは言わないが、一回のはぐらかしに、それをどんどんと突っ込まれて、それが致命傷になった政治家もいる。

民主党が岡田党首だったころ、小泉首相との党首討論を見ていると、この「はぐらかし」が極めて重要だと感じさせる場面がよくあった。直球勝負だけでは身が持たない。

さて、この本は、いまや、ビジネス道のグルの一人になった雰囲気のある梅森 浩一氏が「はぐらかし」という一風変わったテーマで書いた本である。この本では、よいはぐらかしと、やってはならない悪いはぐらかしに分け、よいはぐらかしのテクニックを説いている。

なかなか、面白い。梅森氏がはぐらかしの基本テクニックとして進めているのは、大きくわけると「ずらす」ことと「力関係を利用すること」である。

ずらすテクニックとしては

1)目標をずらす

2)相手にずれてもらう

3)自分の気持ちをずらす

4)ずれたケースをあげる

5)言葉のイメージをずらす

6)キャライメージをずらす

の6つ、力関係を利用するテクニックとしては

7)説得力のありそうな人を出す

8)流行り言葉をちりばめる

9)具体的だけど本筋にあまり関係のない数字をあげる

10)経験の有無の差をつく

11)都合のいいようにまとめる

の5つ。これを読んで心当たりがあって、にやりと笑った人も少なくないだろう。よくぞ、ここまで体系化したという感じだ。

とりあえず、読んでみよう!

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2006年1月25日 (水)

正しいメンタリングの仕方を身につける

453211093901lzzzzzzz 渡辺三枝子、平田史昭「メンタリング入門」、日本経済新聞社(2006)

お奨め度:★★★★

最近、メンタリングが注目されるようになってきている。コーチングブームからの派生だと思うが、あまりにも局所的な部分に焦点が当たりすぎているように思う。

ご存知の方も多いが、メンタリングという言葉は叙述詩「オデッセウス」の登場人物「メントール」という人物が語源だといわれている。オデッセウスが放浪の旅に出るときに,息子の養育を老賢人メントールに依託した。オデッセウスの期待に答え、メントールは見事に息子を育て上げたという話がある。

一人の子供、それも、王様の後継者を育てるという仕事を考えてみてほしい。さまざまな観点から、さまざまな対応をしなくてはならない。それがメンタリングである。あるときには、子供を信用して、全面的に見方をしてやる必要があるだろう。あるときには厳しく指導してやる必要があるだろう。あるときには友達になってあげる必要があるだろう。などなど。

その一因は、メンタリングという言葉や概念は普及してきたが、その方法については自己解釈、経験論が多く、メンターとしてきちんと勉強していない人が多いためだと思われる。

その意味でメンターになる人は、必ず、メンタリングの勉強をしてほしい。そんな人にぜひお奨めしたいのが、この本である。専門的な用語の使用を避け、わかりやすく、かつ、結構、網羅的に書かれている。事例もふんだんに掲載されている。

この本を読んで、興味をもったら、ぜひ、一度、本格的に勉強をしてみてほしい。それには、こちらがお奨め。

456126387x09lzzzzzzz キャシー・クラム(渡辺直登、伊藤知子訳)「メンタリング―会社の中の発達支援関係」、白桃書房(2003)

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2006年1月23日 (月)

役人とプロジェクトマネジャー

412003238809lzzzzzzz 久保田勇夫「役人道入門―理想の官僚を目指して」、中央公論新社(2002) 

お奨め度:★★★★

4年近く前に出版された本であるが、偶然、書店で見つけた。たいへん、面白い本で、珍しく、初読からみっちり、読み込んだ。何が興味を引いたかというと、プロジェクトマネジャーというのは役人道を極めればよいのではないかという点。とても意外な発見だった。
著者の久保田氏は、プロフィールによると東大法学部から大蔵省入省、官僚キャリアの最後は国土庁事務次官で終わったとある。王道のキャリアを歩んだ人だ。その久保田氏の自伝的回顧的に役人のあり方、思考規範、行動規範を説いた本。

ここで興味深いのは、社会学者のマートンの指摘である。それは、

規則や命令をかたくなに重視すると、それさえ守りすればよいということで、内部では形式主義、事なかれ主義になる。外部に対しては面倒な手続きをおしつける繁文縟礼(はんぶんじょくれい)となる。 権限の原則、専門化は、各部門の利益ばかりを考えるセクショナリズムを生みやすく、責任の回避、秘密主義、権威主義といった欠点となる。 上下関係の階層秩序は、下層に無関心を生みやすい。
これらの逆機能が強まると、合理的なはずの官僚制が、非効率的なものとなる。

といった指摘である。マートンはこれを「官僚制の逆機能」と呼んだ。

逆機能が起こってしまうと、いわゆる「官僚主義」となり、揶揄の対象になるが、この本を読んでいると、逆機能をさせ起こらなければ、すばらしくよく考えられた組織であることがわかる。

特に感じるのは、プロジェクトマネジャーは本質的に役人道をきわめていなくてはならないのではないかということだ。事業マネジャーには役人道はマイナスになる部分も多いと思うが、プロジェクトマネジャーにとっては非常に参考になる。

プロジェクトマネジャーの方、ぜひ、ご一読を!

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2006年1月18日 (水)

あるあるマーフィー探検隊!

448405111709lzzzzzzz リチャード・ロビンソン(小林由香利、杉浦茂樹、服部真琴訳)「やっぱり、あるある マーフィーの法則」、阪急コミュニケーションズ(2005)

お奨め度:★★★★

マーフィーの法則とは、先達の経験から生じた数々のユーモラスでしかもペーソスに富む経験則をまとめたものである。「マーフィー」と言う名は、基地内のライト航空研究所に勤務していたエンジニアのエドワード・アロイシャス・マーフィー大尉が残したエピソードに端を発するといわれている。マーフィー大尉の逸話とは

エドワード空軍基地に来ていたマーフィーは、トラブルを起こした装置を調べて誰かが間違ったセッティングをしていた事を発見し、

If there is any way to do it wrong, he will.「奴は可能な限りヘマをする」

と言い放った。ここからマーフィーの法則は始まり、冒頭に述べたような法則をマーフィーの法則と呼ぶようになったという。

その後、いろいろな人の手で、マーフィーの法則が作られている。この本もその一冊。なかなか、よく出来たマーフィーの法則が多い。この本の中で、印象に残ったのは、帯にあるものだが、

 ・結論とは考えるのに飽きたときにたどり着く場所だ

 ・好きなようにしていいとき、人は誰でも同じことをする

といった法則である。

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2006年1月 5日 (木)

2005年ベスト10

あけましておめでとうござます。旧年中は、ビジネス書の杜ブログをご愛読戴き、ありがとうございます。このブログでは昨年度、こんな本がたくさん売れました。

Pmbok3rdjapaneselarge_1

第1位 A Guide To The Project Management Body Of Knowledge: Official Japanese Translation

やはり、これでした。300冊以上売れました。おもしろいのは、2000年版や英語版が結構売れていることです。

あわせると400冊を超えています。

紹介記事はこちらにあります。

477411858309lzzzzzzz 第2位 プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル

今年も2位になることができました。感謝。そろそろ、新しい本が待たれますが、もう、プロジェクトマネジメントの本は書きません。この本で書きつくしています(笑)。

紹介記事はこちらです。

479810023409lzzzzzzz_1第3位 イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

第一版(原書)は1997年ですので、根強く売れています。まさに、一世を風靡した感のある本です。

ただ、もう、古いという感じがするのも事実です。もう、この本で指摘されているような問題は多くの企業は解決しているように思います。

これからの方向性はやっぱり、これでしょう。イノベーションの民営化(笑)、いえいえ、イノベーションの民主化

とはいえ、すでに、エクセレントカンパニーなどと並ぶような歴史的名著にといえるレベルになっているように思いますので、読まれていない方は、ぜひ、読んでいただきたいと思います。

ということで、4位~10位は以下のとおりです。あなたのお気に入りの一冊は入っていますか?

第4位 先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか

     紹介記事はこちらです。

第5位 ソフトウエア企業の競争戦略

     紹介記事はこちらです。

第6位 チームリーダーの教科書―図解 

     紹介記事はこちらです。

第7位 ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件―チームリーダーの〈常識〉

     紹介記事はこちらです。

第8位 世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント

     紹介記事はこちらです。

第9位 プロジェクトマネージャー・コンピテンシー開発体系―PMI標準

     紹介記事はこちらです。

第10位 セクシープロジェクトで差をつけろ! トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦

     紹介記事はこちらです。

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2006年1月 3日 (火)

本家のコンピテンシーマネジメント

4569616275 ヘイコンサルティンググループ 「正しいコンピテンシーの使い方―人が活きる、会社が変わる!」、PHP研究所(2001)

お奨め度:★★★★1/2

コンピテンシーの提唱者とされるハーバード大学の行動心理学者のデビット・マクレランドが、コンピテンシーの商用利用を目的に、その同僚のバーナードと一緒に「マクバー」という研究所を作り、それが、ヘイグループと合併して本格的なビジネスが始まったという経緯がある。

その意味で、ヘイグループはコンピテンシーの本家であるという自負を持っているコンサルティングファームであるし、実際に業界的にも顧客にもそのような認識がある。

本書はそのヘイグループが、おそらくは現在のコンピテンシーという言葉や概念の氾濫を見て一石を投じる目的で出版した書籍であろう。他のコンピテンシーの解説本には書かれていないようなことがたくさん書かれている。その意味で、目からウロコの落ちる1冊である。

本書の流れは初心者向けのコンピテンシー解説本である。ところが、本書(というよりはヘイグループ)のスタンスはコンピテンシーを経営レベルの改革手法として位置づけている。このスタンスに立ち、他の手法、BPRやIT、あるいは、EVAやBSC、あるいはラーニングオーガニゼーションなどとの関係付けを明確にしている。ここが本書の特徴である。このほかにも、誤った扱いをしやすいコンピテンシー項目の持つ意味などを具体的な事例に基づいて紐解いており、すっと読めるが非常にインプリケーションの多い本である。

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コンピテンシーを開発する

482074064409lzzzzzzz JMAMコンピテンシー研究会、古川久敬「コンピテンシーラーニング―業績向上につながる能力開発の新指標」、日本能率協会マネジメントセンター(2002)

お奨め度:★★★

古川久敬先生が中心に行われたコンピテンシーの研究会のレポート。第2部、第3部はさほど、目新しくはないが、第1部のコンピテンシー学習の概念提案は一読に値する。

コンピテンシーを学習することとはどういうことかということを研究論文的にまとめ、フレームワークの提案をしている。学習方法ではなく、学習によるコンピテンシーの変化について言及したうえで、学習方法に関する提案をしている点が説得力があって、非常に興味深い。

もう少し、具体的に知りたいという人には、こちらの本がお奨め。

4889163751 高木史朗(ニッコンアセスメントセンター編)「コンピテンシー評価と能力開発の実務―成果主義時代の人材アセスメント手法と展開方法」、日本コンサルタントグループ(2004)

こちらも実務書というレベルではないが、コンピテンシーをベースとした評価および能力開発について、概念、定義、手法等を網羅的に解説しているので、コンピテンシーラーニングよりはもう少し具体的なレベルで、頭の整理はできる。

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コンピテンシーマネジメント実務ならこの一冊

453971817709lzzzzzzz 太田隆次「コンピテンシー実務ハンドブック」、日本法令(2002)

お奨め度:★★★★

太田氏はコンピテンシーマネジメントに非常に精通したコンサルタントである。その太田氏が、ここまで出すのかと、業界を唖然とさせた本を出版されたのがこの本。

おそらく、この本が一冊あれば、誰もが実務レベルでコンピテンシーマネジメントの導入をすることができると思われる。コンピテンシーの考え方、組織や制度における位置づけといった背景的な解説から、モデル作成、導入方法、ジョブディスクリプションなどのヒューマンソフトマネジメントとの位置づけなど、おおよそ考えられる問題について一通り解決方法や方向性が述べられている。また、豊富な事例も参考になる。

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