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2005年7月

2005年7月31日 (日)

テクノロジストの条件

4478300720 ピーター・ドラッカー(上田惇生訳)「テクノロジストの条件    はじめて読むドラッカー (技術編)」、ダイヤモンド社(2005)

紙版><Kindle版

お奨め度:★★★★★

ドラッカーの著作を読んでいると、その端々に、技術に対する非常に深い造詣を感じることがある。ただ、その全体像が見えなかった。

このように著作集として整理されると、改めて、ドラッカーの技術に対する造詣の深さに改めて驚かされるばかりである。

MOTにかかわっている人はもちろんであるが、技術者として、目先の技術を追いかけるだけではなく、高い志をもち、技術による社会貢献に取り組んで行きたいと考えている人に特にお奨めしたい。

また、最近、MOTブームの一方で、飛行機や鉄道などでは、技術軽視によると思われる災害、事故が目につく。また、携帯電話などの電子商品では技術、あるいは技術者の社会的な責任を全うしていない事例が目につく。もう一度、技術者、あるいは技術のスタンスを考え直す時期に来ている。

そのような時期にぜひ読んでみたい1冊である。

また、あわせて、

プロフェッショナルの条件~いかに成果をあげ、成長するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/02/post_4.html

チェンジリーダーの条件~みずから変化をつくりだせ!

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_7754.html

イノベーターの条件~社会の絆をいかに創造するか

https://mat.lekumo.biz/books/2005/06/post_234dB0084066JM.html

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コミュニケーションの最強テキスト

4820118102 マイケル・ハタズリー、リンダ・マックジャネット(林和恵、水谷栄二、木村けい子訳)「ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション―原則・応用・手法」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★1/2

マネジメントの場面で必要になるコミュニケーションについて、進め方を論理的に説明している。話し合い、会議などのファシリテーション系だけではなく、文章の書き方など、広い範囲でのコミュニケーションを対象にしているので、一冊、持っておくとよいだろう。

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2005年7月27日 (水)

交渉の機微を学ぼう

4561232753 マックス・ベイザーマン、マーガレット・ニール(奥村哲史訳)「マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋」、白桃書房(1977)

お奨め度:★★★★

日本でもネゴシエーションのノウハウを書いた本が増えてきた。この本は10年くらい前の本で、米国のMBAコースの定番本の翻訳である。単なるノウハウ本ではなく、「なぜ、そのような交渉プロセスを踏むとよいか」という点にかなり焦点を当てて書いてあるので、応用が効くというのが最大のメリットである。

同時に、単に交渉術ではなく、人間心理の機微のようなものをマスターすることができるのもよい。

タイトルが難しいので敬遠する向きもあると思うが、内容はビジネスマンむけに心理学の専門分野には入り込まずに書かれているので、読みやすい。また、MBAのテキストだけあって、マネージャーに焦点を絞り、内容を構成してある。プロジェクトマネージャーにもそのまま、参考になる。

この分野に興味がある人はぜひ読んでみてほしい。

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2005年7月22日 (金)

ドラゴン桜

4063289095 三田紀房「ドラゴン桜 (1)」、講談社モーニングKC(2003)

お奨め度:★★★★

このコミックスは「倒産した高校を債権処理として、東大に合格者を多数出す進学校に変える」というプロジェクトを描いたものである。フィクションではあるが、計画から、コントロール、ヒューマンマネジメントまで、プロジェクトマネジメントのさまざまな要素が含まれており、プロジェクトマネジメントのよい参考書になる。特に、学びたいことは、プロジェクトをやるというのがどういうことか、つまり、覚悟と、目的達成への強い意欲、すべてを目的思考で動かすことである。

また、学習すること、教育することとは何かについて、相当突っ込んで議論が行われている。この点でも学ぶことがある。コーチングという言葉までが出てくる。

さらに面白いのは、この再建プロジェクト自体が、生徒にとって「プロジェクト学習」の機会になっていることである。このプロジェクトへの参加を通じて、人生で必要ないろいろなことを学ぶことになる。

なかなか、よくできたストーリーである。マンガだからといって侮ることなかれ!

PM Magazine No.3

4798107700 PM Magazine No.3、翔泳社(2005)

PM Magaizeの第3巻。宋文洲氏はいい顔をしているね(笑)

プロジェクトマネージャー養成マガジンの連載も掲載されています!

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ゲームで会議を活性化

4887593821 ブライアン・コール・ミラー(富樫奈美子訳)「15分でできるチーム・ビルディング・ゲーム」、ディスカヴァートゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★

簡単にチームビルディングに役立つゲームを39種類紹介している。

・初対面のメンバーが親しくなるゲーム

・チームが盛り上がって活性化するゲーム

・チームに交渉力・創造力がつくゲーム

・変化に負けないチームを作るゲーム

の4カテゴリのゲームがある。

ゲームというと、研修のときのものというイメージがある人が多いと思うが、たとえば、会議のときにちょっといれると、会議の雰囲気がガラッと変わることがよくある。リーダーはこの種のゲームは手持ちのものをいくつか準備しておいた方がよい。

もちろん、インストラクターをする人にも必須。

2005年7月21日 (木)

相手に最大の影響を与える

4887593848 K・モーテンセン(弓場隆訳)「心をつかむ技術」、ディスカヴァートゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★★

ビジネスやプライベートのさまざまな場面で使うことのできる「つかみ」のテクニックを紹介している。この種の本は結構多いが、新鮮味のある話が多い。

どんな場面にしろ、人を動かしたい人にはお奨めである。

技術1:ほめる

技術2:貸しをつくる

技術3:出し惜しみをする

技術4:期待をかける

技術5:「みんながこうしている」と思わせる

技術6:責任を感じさせる

技術7:連想させる

技術8:感情と論理の両方に訴える

技術9:絆をつくる

技術10:関わらせる

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2005年7月20日 (水)

個力を引き出す

4532312183 加藤昌男「超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

成果主義ほど、さまざまな評価がある制度は珍しい。一時はすざましい期待をされ、多くの企業に導入された。しかし、その結果は望まれたものではなく、さまざまな視点から、多くの批判がある。

たとえば、内容はともかく、

4334933394

城繁幸「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」、光文社(2004)

などは興味深く読める。

うまく行かない原因は比較的明確である。企業の成果と個人の成果の連結がうまく行かないからである。たとえば、BSCを使って連結をしようとしてもなかなか思ったようには行かない。ある意味でこの両者の成果の連結は本質的な難しさがある。

成果主義への批判であれば、

4822243729 高橋伸夫「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」、日経BP社(2004)

がもっとも的を得ているような気がする。日本型の年功制の利点を論じた本であるが、確かにうなづける点が多い。

にもかかわらず、ダメだという話にはなかなかならない。これは成果主義という考え方が企業にとって究極の発想ともいえるものだからに他ならないだろう。そして、その方法論を求めて、「ポスト成果主義」といった言葉まで生まれている。

さて、この本もその1冊である。が、ちょっと趣を異にするのは、人事の専門書ではなく、ビジネス書として読めるようになっている点だ。成果主義のうまく行かない原因のひとつは、制度そのものの問題ではなく、成果主義への社員の理解だと思う。一般的な人事制度と成果主義の違いというのはここに尽きるのではないかと思う。その意味で、多くのビジネスマンに読んでほしい本である。

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2005年7月19日 (火)

リーダーシップコミュニケーション

4478360723 ロバート・メイ、アラン・エイカーソン(徳岡晃一郎訳)「リーダーシップ・コミュニケーション」、ダイヤモンド社(2005)

お奨め度:★★★★

リーダーシップとコミュニケーション。セットのような感じでもあるが、微妙な違和感がある組み合わせでもある。なんとなく気になるタイトルだったので、とりあえず、手にとってみた。そんな感じでであった本だ。

読んでみて違和感を持った理由がよく分かった。両方ともいやというほど使われている言葉にもかかわらず、新しい概念なのだ。リーダーシップコミュニケーションというのは、人間的なつながりを作っていくことである。

この本では、

 ・コミュニティ開拓

 ・ナビゲーション

 ・組織変革

の3つの場面で、リーダーはどのようにすれば有効なコミュニケーションを行っていくことができるかを述べている。

プロジェクトをコミュニティだと考えたい人には、ぜひ、このようなリーダーシップを身につけることをお奨めしたい。

(プロジェクト)リーダーにコミュニケーションが重要だということは散々言われているし、そこにさまざまなコミュニケーションスキルを持ち込もうとしている。その典型はコーチングである。しかし、このようなコミュニケーションはリーダーにとってあまり有用だとはいえない。その理由はこの本を読んでみれば、よく分かる。リーダーとしてのコミュニケーションと、フォロアとしてのコミュニケーションは根本的に違うのだ。

これはコミュニケーションマネジメントの必要性にも通じるが、そこをよく理解しておく必要がある。

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2005年7月18日 (月)

あなたのプロジェクトに「ゆとり」ありますか?

4822281116 トム・デマルコ(伊豆原 弓訳)「ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解」、日経BP社(2001)

お奨め度:★★★★1/2

ソフトウエアプロジェクトマネジメントのグルである「トム・デマルコ」の3部作の一冊。「ゆとり(Slack)」がないと、プロジェクトや組織はどうなるかを非常に深い視点から書いている。

3部作におけるデマルコの基本的主張は、ソフトウエアの開発は知識労働であるという点にたっており、現在の肉体労働を前提にしたマネジメント手法では、効果を発揮しないという主張である。その中で、本書は、いくらプレッシャーを与えても生産性はあがらず、生産性を挙げるためには、別の方法が必要であり、その方法として「ゆとり」という概念を持ち出している。

ソフトウエア開発プロジェクトだけではなく、リードタイムがどんどん短くなっていく中で、きわめて重要な指摘ではないかと思う。

ちなみに、3部作残りの2作は以下の2作である。

4822281108 トム・デマルコ、ティモシー・リスター(松原友夫、山浦恒央 訳)「ピープルウエア 第2版 - ヤル気こそプロジェクト成功の鍵」日経BP社(2001)

お奨め度:★★★★★

もう20年前に第1版が出版された本であるが、今、読んでいると、まさに、これから、このような視点が必要になってくるなと思わせる1冊である。この本に書かれていることは、ドラッカーが考える社会観とほぼ同じであり、デマルコは、まさに、IT界のドラッカーともいうべき存在である。

プロジェクトは何よりも「ひと」であり、

一人一人の人格の尊重

・頭を使う人間にふさわしいオフィス

・人材の選び方・育て方

・結束したチームがもたらす効果

・仕事は楽しくあるべきもの

・仕事を生み出す組織づくり

という6つの視点から「ひと」を中心にしたプロジェクトマネジメントについて説いている。

4822280535 トム デマルコ(伊豆原 弓)「デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則」、日経BP社(1999)

お奨め度:★★★1/2

この本は、ソフトウエアプロジェクトマネジメント全般に焦点を当てて、物語形式でポイントを述べている。しかし、単に教科書的な本ではなく、そのポイントの示し方に、デマルコの強烈な主張が入っているので、まず、デマルコを読むのであれば、この本から読まれることをお奨めする。

この3部作に加えて、最近、リスクマネジメントに関する本が出版された。こちらは別途、書評があるので、参考にしてほしい。

熊とワルツを

4822281868

https://mat.lekumo.biz/books/2005/01/post_5.html

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