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2005年3月

2005年3月31日 (木)

必ず成功させるための正解がないプロジェクトマネジメントのバイブル

447837449X 長尾 清一「先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか」、ダイヤモンド社(2003)

極めて実践的な本。プロジェクトマネジメント全般を扱っているが、たとえば、SIプロジェクトで言えば、2~3億のプロジェクトのマネジメントをするのであれば知っておかなくてはならないことが網羅的に書かれている。

長尾さんは米国での生活が長かったらしいが、そのせいか、極めて合理的な考え方に基づいたプロジェクトマネジメントの考え方(戦略)を、単に抽象的な方法論だけではなく、実行レベル(ツール)で何をすべきかというところまできちんと書いている。ベースはPMBOKである。

自分のプロジェクトマネジメントに問題を感じたときには、この本を読んでみれば、きっと問題解決のきっかけが得られるだろう。

プロジェクトを必ず成功させる『正解』は存在しない、プロジェクト現場から見て『プロジェクトをいかに失敗させないか』が重要

という長尾さんの意見には、前半は全面的に賛成だが、後半は必ずしも賛成ではない。しかし、この本自体は、このコメントに対する現実的な解を提供している1冊として評価できるし、米国的なボリューム感のある書籍で満足度は極めて高い。プロジェクトマネージャーの人には座右の1冊にしてほしい。

この本のすばらしさは、アマゾンの読者コメントをみればよくわかる。

2005年3月15日 (火)

OPM3 Knowledge Foundation

1930699085.01.LZZZZZZZ

Project Management Institute: "Organizational Project Management Maturity Model (OPM3) Knowledge Foundation", Project Management Institute (2003)

お薦め度:★★

PMIがPMBOKをベースにして、提唱している組織のプロジェクトモデルの解説書。PMBOKとPMCDFとの3点セットになっている。プロジェクトポートフォリオマネジメント、プログラムマネジメントなどをする場合には必読の1冊。

そういうお値段ですね(笑)

2005年3月13日 (日)

Project Risk Management Guidelines

0470022817.01.LZZZZZZZDale F. Cooper, Stephen Grey , Geoffrey Raymond, Phil Walker "Project Risk Management Guidelines: Managing Risk In Large Projects And Complex Procurements", John Wiley & Sons Inc(2004)

★★★★1/2

リスクマネジメントに本気で取り組むなら、この本をお奨めしたい。

もう、15年以上前から改定を重ねられている本で、その分、レッスンズラーンドが蓄積されてきている。

PMBOKのリスクマネジメントプロセスに「近い」プロセスを前提にして、具体的な手法、指標などが満載である。

読みこなすには結構骨が折れるが、組織でリスクマネジメントプロセスの構築を行う際に、この本をみんなで読み、自社の現状に適用していくような進め方が可能である。ぜひ、そのような使い方をお奨めする。

また、特に指標は非常に示唆に富んでおり、読むだけでもあなたのリスクマインドは影響を受けるだろう。同じ意味で、プロジェクトでメンバーにリスクマインドを受け付けるために読んでみてもよいだろう。

なお、英語は難しくないが、単語が結構、リスクマネジメントの独特のものがある。

自律チーム型組織

4820116215チャールス・C. マンツ、Jr.,ヘンリー・P. シムズ 「自律チーム型組織―高業績を実現するエンパワーメント」、生産性出版(1997)

お薦め度:★★★1/2

著者であるチャールス・C・マンツ+ヘンリー・P・シムズJr.はセルフマネジメントチームという概念の産みの親ともいえる研究者である。

セルフマネジメントチームは本書の邦題のとおり、自律したチームである。本書ではまず、チーム制を導入する際の阻害要因を整理し、それを踏まえた上で、チーム制導入のためにはラインマネージャーが何をすればよいかを詳細に説明している。

これはプロジェクトマネジメントの導入初期において起こることとまったく同じことがいえる。その後、チーム制が持つ利点と欠点を整理し、運用について詳しく述べてある。導入初期においては、どのように組織に「ビッグバン」を起こすかについて説明している。次に定着後は、よく起こりそうな問題について、その要因や、対処方法についてエンパワーメントを中心に解説している。さらに、大規模なチームの場合の特有の問題や、進め方についても議論している。

すべての議論は著者たちの調査した事例に基づいて行われている。事例は顧客対応、TQC、業務プロセスなど多様であり、事例そのものを読んでいても興味深い。

本書は、プロジェクトマネジメント導入、あるいは運用で組織的問題に行き当たったときのお薦めの1冊である。

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2005年3月10日 (木)

オフショアリング完全ガイド

482222970X.09.LZZZZZZZ
S‐openオフショア開発研究会「オフショアリング完全ガイド―ソフトウエア開発」、日経BP社(2004)

お奨め度:★★★1/2

オフショアの基本から、実践まで網羅的に書いてあるなかなかよい本だ。オフィショア開発の全貌が分かるという意味で、良い本だ。何よりも面白い。

ただし、難しさの前提になっているプロジェクトマネジメントがあまりにも低レベルであり、そんなやり方では、プロジェクト、国内でやっても失敗するだろうという印象を強く受けた。その意味で、難しさをあおっている本という印象が否めない(もっとも現実に起こっていることなので、その意味では謙虚に受け止めるべきだが)。

プロジェクトマネジメントをきちんとやるという前提で、「しかし、オフショアでは、、、」という話を聞きたい。

PM Magazine第2号

PM Magazine第2号、翔泳社

お奨め度:★★★

日本初のプロジェクトマネジメント専門誌第2号。

2005年3月 8日 (火)

MBA全1冊

4532311977.09.LZZZZZZZ

ジョエル・クルツマン、ヴィクトリア・グリフィス、グレン・リフキン:「MBA全1冊」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

読み終わった率直な感想は、まあ、MBAコースに行って学ぶことというか、卒業後に頭に残っていて役立ちそうなことはこんなものかなという感じ。決して悪い意味ではない。

もともとのタイトルは”MBA in a BOX"なのだが、決して、MBAコースで習うことの集約版ではない。むしろ、MBAコースで学ぶことのエッセンス(本質)をさまざまな著者の見識の編集で作り上げている。すばらしい本である。

マネージャーにとっても有益であることは間違いないが、むしろ、専門職として活動していて、マネジメントのセンスも必要としている人が、マネジメントセンスを身につけたい人にぜひ、お奨めしたい1冊だ。

特に、プロジェクトマネジメントを行っている人には役に立つ1冊である。

2005年3月 3日 (木)

2004年年間ベストセラー

2004年の年間ベスト10です。ベスト5までには、売れた冊数が書いてあります。やっぱり、PMBOK2000年版が2位の倍くらいの数、売れています。PMBOK恐るべし!ですね。

第1位 (206)A Guide to the Project Management Body of Knowledge, 2000: Official Japanese Translation

第2位 (108)プロジェクトマネージャーが成功する法則―プロジェクトを牽引できるリーダーの心得とスキル

第3位 (65)ザ・リーダー

第4位 (63)先制型プロジェクト・マネジメント―なぜ、あなたのプロジェクトは失敗するのか

第5位 (59)一日5分奇跡を起こす4行日記―成功者になる!「未来日記」のつくり方

第6位 実用企業小説 プロジェクト・マネジメント

第7位 熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理

第8位 Project Management Professional [PMP教科書]

第9位 チームが絶対うまくいく法

第10位 プロジェクトはなぜ失敗するのか―知っておきたいITプロジェクト成功の鍵

ちなみに2003年のランキングはこちら

>この本を読めブックストア2003年ベスト3

2005年3月 2日 (水)

チームリーダーの教科書

4757302886.09.LZZZZZZZ藤巻 幸夫:「チームリーダーの教科書―図解フジマキ流アツイチームをつくる」、インデックス・コミュニケーションズ(2005)

お奨め度:★★★★1/2

残念ながら、アマゾンに掲載されている写真は「オビ」がない。実はオビには、

 「フジマキさんのスゴさを最新式しました!! 楽天(株) 三木谷浩史

と直筆のサインが入っている(もちろん、印刷ですよ)。

藤巻さんの解放区を始めとするバイヤーとしてのキャリア、また、福助の救世主となった(なりつつある)ことは、いまさら、説明するまでもないだろうが、この本、三木谷さんのこの言葉が単なるプロモーション用のキャッチではないと思わせるような濃い内容の本である。

この本、藤巻流のチームマネジメント術と、世間でも話題になった男性用の「着圧くつした シェーパーズ・フォーメン」の開発ストーリーの2本立てになっている。もちろん、シェーパーズ・フォーメンの開発ストーリーが藤巻流チームマネジメントの事例になっているのだ。

刺激的で、かつ、現実的である。例えば、チーミングだと

(1)ゴールまでのイメージを描き、、、

とスキルセットをきちんとして、足らない部分はリクルーティングしてくるといった一連の教科書に書いてあるような手法が書かれている。ここまでは、普通なのだが、この後にさりげなく

 この一連の作業は組織的にすでにチームのメンバーが定まっていても必ず試してもらいたい

とさりげなく書かれている。この一言が、藤巻さんの真骨頂ではないかと思う。ここで、組織が決めているから仕方ないとあきらめる人と、もう一足掻きする人では、成果に対して決定的な差が出る。

藤巻さんのチームマネジメントというよりも、プロジェクトマネジメントはトム・ピーターズのプロジェクトマネジメントに近い。併せて読んでみるのがよいだろう。

4484003120.09.LZZZZZZZ
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ! トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (2)

 

 

 

 

 

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2005年3月 1日 (火)

人を動かすEQマネジメント!

4774122742.09.LZZZZZZZ

高山直「人を動かす!EQマネジメント―プロジェクトは「こころ」で決まる! 」技術評論社(2005)

お奨め度:★★★

プロジェクトマネジメントの分野でもEQマネジメントというのが注目され始めている。

この本は、日本ではEQに関して最も積極的な活動をしているイー・キュー・ジャパンの高山直さんがEQマネジメントのプロジェクトマネジメントへの適用の可能性について書かれた本である。

プロジェクトマネジメントを行う際には、「何を拠り所」とするかは非常に難しい問題である。この本でも指摘しているようにQCDによる管理の弊害を言うのは簡単だが、だから、EQでよいという話にはならない。要は、いろいろな視点を持つことが重要である。

その意味で、プロジェクトマネージャーは「こころ」、「感情」の問題についても関心を持つべきだろう。そのための1冊としてお奨めしたい本だ。

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